Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
【そういえば。コンビニの仕事はいつまで?】

 しんみりとした気持ちの合間にスマホが震えた。彼からのラインを読み、メッセージを作成する。

【辞めるのは来月下旬ごろの予定なので、あと1ヶ月は働きます。新しい人を雇って引き継ぎもあるので、それまではいてほしいと言われて…】
【まぁそうだろうね。清掃のほうも同じような感じ?】

 送ってすぐに返事が届くので想乃は少し考えてから文字を打った。またすぐに返信がある。

【そっちは二週間後の退職で大丈夫だと言われました。なので再来週いっぱいで終わりです】
【わかった。清掃の仕事は夜だし退職するまでは俺が家まで送るから会社の前で待ち合わせしよう】

 メッセージを読み取り「え」と声が上ずる。ただの“ふり”なのにそこまでしてもらってもいいのだろうか。文字入力のキーの上で想乃の親指が固まった。

 それに会社というのは慧弥が勤めている会社のことを指すのか、そこも曖昧だ。どっちだろう。想乃は少し考え【会社というのは】とフリック入力を続ける。不意にスマホが震えてメッセージを受信した。

【ちなみに会社というのは想乃が勤めている清掃業のほうね。ハローハロークリーニング、だったかな?】
【待っててもらえたら行くから】
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