Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「想乃ちゃん、お疲れ様。毎日コンビニと掃除の仕事で大変だよね。これ僕の気持ち。受け取ってもらえないかな」
想乃はあからさまに眉をひそめた。玄関先のポーチに男性が立っていた。今日コンビニで接客をしたサラリーマンの男性だ。想乃の顔をやたらと見つめ、シュシュのことを聞いてきた。
「あの」
声が喉の奥で強張った。恐怖から唇が震えてそれ以上の言葉が続かない。男性はにこやかに笑い「やっぱりマスクがない方がいいね」と言った。「その方が断然可愛いよ」と。一瞬で総毛立った。
「……こ、困ります」
想乃は額を蒼くし、俯きがちに声を震わせた。すぐそばに立つ不審な男がただただ怖かった。
「想乃ちゃんを困らせるものじゃないよ。栄養ドリンクとあと新しいシュシュ。きみに似合うのを見つけたんだ」
「ごめんなさい、困ります……っ」
男が差し出す紙袋を受け取らずに、ドアノブを引いて扉を閉めようとする。男の革靴が扉のふちに差し挟まれて、閉めるに閉めれない。
「え、だれ? 急に入って来るとかあり得なくない?」
後ろに立つ郷が狼狽し、スエットのポケットからスマホを取り出した。
「あ、弟の郷くんだよね? 僕はお姉さんが働くコンビニの常連で決して怪しい者じゃ、」
想乃はあからさまに眉をひそめた。玄関先のポーチに男性が立っていた。今日コンビニで接客をしたサラリーマンの男性だ。想乃の顔をやたらと見つめ、シュシュのことを聞いてきた。
「あの」
声が喉の奥で強張った。恐怖から唇が震えてそれ以上の言葉が続かない。男性はにこやかに笑い「やっぱりマスクがない方がいいね」と言った。「その方が断然可愛いよ」と。一瞬で総毛立った。
「……こ、困ります」
想乃は額を蒼くし、俯きがちに声を震わせた。すぐそばに立つ不審な男がただただ怖かった。
「想乃ちゃんを困らせるものじゃないよ。栄養ドリンクとあと新しいシュシュ。きみに似合うのを見つけたんだ」
「ごめんなさい、困ります……っ」
男が差し出す紙袋を受け取らずに、ドアノブを引いて扉を閉めようとする。男の革靴が扉のふちに差し挟まれて、閉めるに閉めれない。
「え、だれ? 急に入って来るとかあり得なくない?」
後ろに立つ郷が狼狽し、スエットのポケットからスマホを取り出した。
「あ、弟の郷くんだよね? 僕はお姉さんが働くコンビニの常連で決して怪しい者じゃ、」