Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
目の前の光景が信じられなかった。つい一時間と少し前にも清掃先の会社で話したばかりではないか。スイーツプリンスがなぜ今ここにいるのか、不思議でしかたなかった。
「どうして、あなたが……?」
乾いた唇からは当然の疑問がこぼれ落ちた。玄関の奥にある廊下の先で郷が声を上げる。「姉ちゃん、この人だよ!」。その男性に指を差し「僕に名刺をくれた人」と続ける。
名刺と聞いて、先日見たお洒落なカードを思い浮かべた。そこに書かれたフルネームを知らず口に出してしまう。
「並樹、慧弥さん?」
名指しされた彼は「そう」と言ってこくりと頷いた。
「とんだ邪魔が入ったけれど。今日はきみに大事な話があって来たんだよ」
「……話?」
何が何やらわからない。困惑から眉を寄せる想乃に並樹がにこりと微笑んだ。
「浅倉想乃さん。結婚を前提に俺とお付き合いしてもらえませんか?」
「どうして、あなたが……?」
乾いた唇からは当然の疑問がこぼれ落ちた。玄関の奥にある廊下の先で郷が声を上げる。「姉ちゃん、この人だよ!」。その男性に指を差し「僕に名刺をくれた人」と続ける。
名刺と聞いて、先日見たお洒落なカードを思い浮かべた。そこに書かれたフルネームを知らず口に出してしまう。
「並樹、慧弥さん?」
名指しされた彼は「そう」と言ってこくりと頷いた。
「とんだ邪魔が入ったけれど。今日はきみに大事な話があって来たんだよ」
「……話?」
何が何やらわからない。困惑から眉を寄せる想乃に並樹がにこりと微笑んだ。
「浅倉想乃さん。結婚を前提に俺とお付き合いしてもらえませんか?」