Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
そう言ってふわりと笑みを向けられて、心臓の奥がきゅうと甘く痺れた。
「だっ、だけど。自信がありません」
「なにに?」
「並樹さんのようなお家柄の男性と。平気な顔して歩けるほど、行儀作法も心得ていませんし」
「うーん……それはそんなに気にすること?」
「気にしますよ」
縮こまる想乃を見て、並樹はひょいと瞳を持ち上げた。しばし沈黙し腕を組んで考えている。
「コンビニで接客する普段の浅倉さんを見ていて、俺はそのままでいいと思ったから声をかけたんだよ?」
コンビニで、と考え無意識に眉が寄る。小さく首を傾げた想乃を見て並樹が続けた。
「毎回きちんとした接客態度で、マニュアル通りと言われればそうなのかもしれないけど。きみ個人の感情を上乗せして心を尽くしているのが伝わってくる。あそこまで丁寧に接する店員を……コンビニでは見たことがない」
「……で、でも」
接客は仕事だしそれとこれとは、と思ったところで彼がやんわりと微笑んだ。
「まぁ。浅倉さんがどうしても気になると言うのなら、直々に立ち居振る舞いとか上品な言葉遣い、食事のマナーなんかに関する礼儀作法を学べるよう、師範をつけることも可能だよ?」
「……っえ」
そんな大袈裟な。まさに上流階級のようなセレブリティさすら感じる。余計に畏れ多いと思ってしまう。
「だっ、だけど。自信がありません」
「なにに?」
「並樹さんのようなお家柄の男性と。平気な顔して歩けるほど、行儀作法も心得ていませんし」
「うーん……それはそんなに気にすること?」
「気にしますよ」
縮こまる想乃を見て、並樹はひょいと瞳を持ち上げた。しばし沈黙し腕を組んで考えている。
「コンビニで接客する普段の浅倉さんを見ていて、俺はそのままでいいと思ったから声をかけたんだよ?」
コンビニで、と考え無意識に眉が寄る。小さく首を傾げた想乃を見て並樹が続けた。
「毎回きちんとした接客態度で、マニュアル通りと言われればそうなのかもしれないけど。きみ個人の感情を上乗せして心を尽くしているのが伝わってくる。あそこまで丁寧に接する店員を……コンビニでは見たことがない」
「……で、でも」
接客は仕事だしそれとこれとは、と思ったところで彼がやんわりと微笑んだ。
「まぁ。浅倉さんがどうしても気になると言うのなら、直々に立ち居振る舞いとか上品な言葉遣い、食事のマナーなんかに関する礼儀作法を学べるよう、師範をつけることも可能だよ?」
「……っえ」
そんな大袈裟な。まさに上流階級のようなセレブリティさすら感じる。余計に畏れ多いと思ってしまう。