Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 心拍がトクントクンと異様なほどに高鳴り、思わず両手で胸を押さえていた。

 だめだ。ドキドキしすぎて死んじゃいそう……っ。

 想乃はハァと再三息をもらした。スイーツプリンスへの恋心が、こんな形で前進するなんて夢にも思わなかった。

 一生片想いを覚悟していただけに、まさかこんな機会(チャンス)が巡ってこようとは。

 今日彼と過ごした時間を何度も頭の中で反芻し、「好きです」と呟いた。

 私。頑張ろう……。この一年、誠心誠意をもってあの人の依頼に応えて、並樹さんに好かれる努力をしよう。

 想乃のなかでむくむくと願望が膨らんだ。
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