Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
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気づいたら薄明るい部屋で天井をぼうっと眺めていた。ベッドを寄せた壁の半分から上に出窓があり、きちんと閉じられたカーテンの隙間からはちらちらと白い光が漏れ出ている。
もう朝か、と何気なく思った。よく寝たという感覚があった。
一瞬、仕事は? と慌てそうになるけれど。昨夜の記憶が不意に戻ってきて、そういえば今日は久しぶりの休みだったなとすぐに思い至る。
片手で枕元を手探りする、思った場所でスマホを掴み、画面表示から時刻を確認した。11:28。
「……じゅういち、」
想乃はスマホを凝視したまま目を丸くして、がばっと起き上がった。あと三十分もすれば正午だ。確か昨日は深夜一時ごろに寝たはず、と時間を逆算し、およそ十時間も寝ていたのかと結論に至った。
想乃はベッドに座り直し、スマホをタップした。緑色のアイコンを開き、昨夜交換したばかりの彼のトークルームを見つめる。
並樹さんになんて打とう。今、起きました、でいいかな?
下部の細長いバーに触れて、いま、と文字を打つとブブ、とスマホが震える。
【おはよう。そろそろ起きましたか?】
「えっ!」
無意識に声が出た。彼とのトークルームに吹き出しの形でメッセージが載っていた。ちょうど今メッセージを送るところだったので、ものすごく驚いた。