Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜

「なんだっけ、こういうの。なんて言うんだっけ……」

　少し考えてシンクロニシティだと思いつく。意味のある偶然の一致というやつだ。今日連絡を取り合うということは、事前に示し合わせていたけれど。なんとなく嬉しくなった。彼と心の深いところで繋がっているみたいだ。

【おはようございます。今起きてメッセージを打とうと考えていました。すごい偶然でびっくりしました】

　想乃はメッセージと共に驚きのスタンプも送信する。どちらもすぐに既読になった。少し待つとまたスマホが震え、メッセージが表示される。

【本当？】
【起きててよかった】
【浅倉さんからのラインが待ち遠しくて、つい送っちゃった（笑）】

　想乃の目に輝きが宿った。スマホを胸に抱いたまま再びベッドに倒れ込み、足をバタバタさせた。

【休みだからって寝過ぎちゃいました。今日の約束は１３時でお願いします】

　ウキウキしながらメッセージを送ると了解のスタンプが返ってくる。

【直接家まで迎えに行くね】

　並樹からのラインを読み取り「なにこれ」とうっかり独りごちてしまう。

「こんなの本当に彼氏みたいじゃない？」