絶対王者の東くんが私を所望しています。

☽・:*


色彩豊かなペンキで彩られた壁

人為的に壊されたボロボロの校舎

無数の割れた窓ガラス


喧嘩に暴力、乱闘


それらが日常茶飯事の紅浜北高校

通称“紅校”は名だたる不良達が集まる県内最大のヤンキー校



そんな悪の巣窟で最強と認められた者は絶大な人気と権力が手に入るという噂があるらしい




『男の子って好きだよねぇ、最強とか1番とかさぁ』



私の話を電話越しに聞いていた幼なじみの華ちゃんは呆れたように言う



「華ちゃんどうしよう、私明日から紅校に通うのに
やっていける気がしないよ…………」



対して私はがっくりと肩を下げ、顔を青くして電話の向こう側の幼なじみに救いを求めていた



『もう仕方ないでしょう?琉音がそこに決めたんだから
お兄ちゃんと同じ高校に通う〜って喜んでたじゃない』



「それはそうなんだけど……っ」




だって知らなかったんだもん………


家庭の事情で転校することになった私八雲 琉音(やぐも るね)は、自分の意思で双子の兄が通う学校に転入すると決めてしまった


それが県内最大のヤンキー高校だとも知らずに…



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