純愛コンプレックス

1

【この学校で、今日も私は真面目女子に擬態する】
 
◯学校の廊下
男子の集団が窓際でたむろしている。
 
男子1「あ、清流さん」
男子2「お」

男子の視線の先には、友達と並んで廊下を歩いて来る真白の姿。
 
清流(きよら)真白(ましろ)高校三年生
肩より少し長い黒髪 さらさらストレート
目はぱっちり大きく、色白で童顔。
制服は規則通りきっちり着こなしていてスカート丈は膝下。真面目で清楚な見た目。
 
男子達が目の前を通り過ぎる真白を呆けた顔で眺めている。
 
男子1「はあああ、まじ可愛い」 
男子2「清流さんの半径3メートルくらい、マイナスイオン飛んでるわ」 そよそよ〜と小川のせせらぎをイメージ
男子1「えぐいな、空気清浄力」ダイ◯キンも吃驚!

◯教室
「おはよー」とクラスメイト達が口々に挨拶を交わす。

ドアの前ですれ違った男子が真白に声を掛ける。
男子1「お、おはよう、清流さん!」
頬を染めて緊張したぎこちない挨拶。

真白「おはよう」
遠慮がちに微笑む真白はクラスの皆には男に慣れていない初々しい感じに見えている。


男子1:一番後ろの席の集団に興奮した様子で混ざる。
男子1「おはようって言われたっ!」
男子2「ずりぃ〜 俺もおはよって言いたい! 言われたい!」

友達と話している真白の横顔を眺める男子達。

男子1「はぁ〜まじ天使、穢れなき天使」
男子2「清楚の権化、純真天使」
男子3 「国宝級のピュア!」
 
 
男子1「なんてたって名前も真白ちゃんだもんな!」
男子2「親天才かよ!」
男子「しかも清流さんだぞ。名字まで清らかって、こんな奇跡ある!?」
男子3「清流さんのために作られた名字じゃないか?」
真白(私、そもそも田中でしたけどね!)※親離婚前の名字は田中。田中歴12年。
友達と雑談中。後で騒いでいる声が聞こえて心の中で突っ込む。

【この学校の人にはなぜか私が清純で清廉潔白な女に見えるらしい】

【でもーー】

【今はこんな姿(なり)をしていますが、私、東京ではギャルでした】

制服を着崩した真白のイメージ。
※派手というよりはお洒落で大人っぽい雰囲気。
メイクがっつり。ピアス。茶髪。

◯バス停
学校帰り。誰もいないバス停で時刻表を確認する真白。

真白(四十分後かぁ)

ベンチに座って長閑な田舎街を眺める。

真白(あー、東京のメトロはマジ神だったわ。歩ける距離でも無駄に駅あったしなぁ。5分も待てば次の電車来るし。こっちに分けて欲しい)


清流(きよら)真白(ましろ)高校三年生。
訳あって、離婚した父の地元に引っ越して来て一ヶ月。
近所には見渡す限り家と木しかない】


【なぜ、東京でギャルだった私が、こんな場所で、こんな格好をしているかというとーー】

◯回想
真白 小学校六年生。

【小学校を卒業するタイミングで両親が離婚した】

・お互い仕事が生きがいの両親
パパ 医者 
ママ 研究員

【根っから仕事人間のパパとママ。三人で暮らしていてもママと二人になっても私の生活は変わらなかったけど】

・ひとりで食事をする真白
 
・仕事で一年のほとんど海外にいるママ
ママ「ごめんね〜また来週(真白の誕生日)出張になっちゃった〜」両手を合わせて謝る。
真白「いいよー。頑張ってね、お仕事」
ママに気を遣わせないようににっこりと笑う。


【中学時代】
とある休日。友達と街中を歩いている。

真白「ねぇ、夕飯、どっかで食べてかない?」
友達1「んー、うちでもうご飯用意しちゃってるからなぁ」
友達2「うちもー。先にご飯いらないって言っとかないとママ怒るし」

・家族連れで賑わうファミレスでぽつんとひとりでご飯を食べる真白。

【高校入学】
◯放課後 
学校帰り。

友達1「親遅いの?」
友達2「えーじゃあ、どっかで夕飯食べて帰る?」
真白「えっ、いいの?」目を丸くして驚く。
友達1「連絡しとけばへーき。うちゆるいからー」
友達2「うちも。なんならオールしちゃう?」
友達1「制服、無理じゃん」
 
【高校生になって仲良くなった子は門限とかゆるめの家庭だったから、夜遅くまで一緒に遊ぶようになって】

女子2「彼氏がカラオケにいるから来ないー?って」
◯男女四人で会う場面
友達の彼氏とその友達たち。
 
・男女の集団の中で笑っている真白。
ファーストフードやカラオケで遊んでいる様子。

【高校二年生の冬ーーある事件(できごと)がきっかけで、学校にもママにも夜遊びがバレた】

【しかも学校でちょっとした騒ぎになってしまってーー】

◯学校
担任「初回なので大目に見ますが……本来なら停学処分ですからね」
ママ「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
先生達に頭を下げる。

◯リビングのテーブルでママと向き合っている。
腕を組んで座るママの前で真白は気まずそうに両手を膝の上に置いて俯く。

ママ「真白は四月からパパのとこに行きなさいね」
パパは離婚後、実家(東北の田舎)に帰った。

真白「パパのって、あのど田舎!? 無理無理暮らせない!」
凍りつきそうな冷気を発してにっこり笑うママを見てぴしゃと黙る。
※ママ ゆるふわ系の可愛い見た目に反して厳しい。
 
ママ「ま、たったの一年よ。残りの高校生活、真面目に通ったら大学は東京で一人暮らしさせてあげる」

真白:がばっと顔をあげる。

ママ「その代わり、ひとつでも守れなかったらパパのとこから通える大学に行かせるからね」
真白「横暴ー」
ママ「お金を出すのは親だもの。異論があるなら自力で通いなさいね。卒業すればもう成人だし」
真白:ぐっと文句を飲み込む。

1 門限十九時
2 髪は黒に戻す
3 ピアスは透明ピアスのみ
4 メイクは休日のみ
5 定期テストは全科目平均点をクリアする
6 門限の延長は連絡を入れた時のみ、二十一時まで可。月一回まで認める
7 休日出かける時は行き先と相手を叔母に報告すること
8 二十一時以降のスマホ禁止。朝まで叔母に預けること
9 やむを得ない事情がない限り、体調不良以外は学校を休まない
10 週一回は母に近況報告

真白:ずらりと書かれた契約書のような書面を見て顔を引き攣らせる。

真白「……刑務所かな?」
ママ「嫌ならママとアメリカで暮らす?」にこにこ笑顔
真白「うっ」→英語苦手
アメリカかど田舎か天秤に掛ける。

真白(……まぁ、いっても今年は受験生だし。田舎(あそこ)なら娯楽もなければ誘惑もないし。ガチな予備校合宿に参加すると思えば、一年くらい耐えられるか)

よっしと胸の前で両手を握りしめて決意を固める。

真白「ママ、私、真面目になるね!(一年限定で)」
ママ「よろしい」

真白【自由な大学生活(みらい)を手に入れるため! 優等生になりきります!】
 

◯春休みの様子
引っ越し・美容室で髪を染める・編入試験 

【四月】
洋介「おおーなんか、ガキっぽ、……若返ったなぁ」
目を見開いてしげしげと真白を眺める。

※洋介 従兄 大学生二年生。
見た目も言動もチャラいが頭は良く国立大学に通っている。癖のある明るい茶髪でマッシュベースのカット。だぼっとした洋服(格好)が好み。

真白(高校生に若返ったってなに)目を眇める。
※黒く染めた髪の毛はピアスの穴が見えないように下ろしている。スカートも規定通り膝が隠れる長さ。指定の鞄に革靴ローファー。

洋介「いいじゃん、いいじゃん、高校生らしくて。つーか中坊みてー」
笑いながらわしゃわしゃと真白の髪を撫で回す。

真白「ううっ、いつも大学生に見られてたのにっ」
きらきらメイクした過去の自分を思い浮かべて両手で顔を覆う。

洋介「老けてるより若く見られる方がいいじゃん」

稀莉「どっちの真白ちゃんも可愛いよ」真顔 元々表情がほとんどない。

※稀莉 洋介の妹。元登校拒否時&元引き篭もりの従妹(真白と同じ歳) 小柄で可愛らしい雰囲気だけど服は個性的。毛先だけピンクに染めてる。
真白大好きな真白推し。シスコンみたいな感じ。
通信制の高校に通っている。
幼い頃アトピーが酷く、それが原因で小学五年生から登校拒否に。今は見た目ではほとんど分からないけれど所々身体に跡が残っているのがコンプレックス。


◯転校初日
教壇の上、担任の隣に立った真白を見て騒めきが起こる。
※真白を見て一際驚いて男子(佐伯純)をちらっと見せる。

真白【も、もしかして、ダサくて引かれてる……?】
恥ずかしくて顔を真っ赤にして俯く。

男子「やっべ……」
 
真白【やばいよね、分かってる。マスカラもしてないアイラインも引いてない顔、人前に晒すのやばいよね。でもしょうがないの!】目をぎゅっと瞑る。

男子1「やべぇ、……えぐい可愛い」

真白(ん……?)

男子2「な、なんか……すげぇ、透明感」
男子3「肌、白っ」
男子4「全身からピュアオーラがっ」

真白(んん……?)

反応に戸惑ってぎこちなく微笑む真白を見て男子生徒達は興奮した様子。

【地味でダサいとばかり思っていた出立ちが、なぜかここでは受けた】

【女子たちにも好意的】
女子1「かっわ!」
女子2「目でっか!」
女子3「まつ毛長っ、えっ、天然物?」
女子4「無加工のお顔なの、これ?」
女子1「お肌きれー!もちもちー」
女子2「赤ちゃんみたい〜」


真白(……まぁ)
※妄想  
「だっさ」くすくす笑われてる
「なに、あのスカート丈」
「すっぴんやばぁ」
 
真白(とかなくて良かったな…… )

・真白は気付いていないが、教室に入って来てからずっと意味ありげに真白を見つめている男子がいる。

※佐伯 純
笑顔が爽やかで女子から人気のある男子。
男友達からも好かれている。甘めの顔立ち。
前髪を自然に下ろしたナチュラルマッシュショート。
高身長。バレーボール部。


◯回想終わり 現在に戻る。
  
◯学校 昼休み

【なんとなくみんなの印象を壊すのが躊躇われてーー純真無垢な真白ちゃんーーのまま一ヶ月を過ごしてしまった】

【みんなの私に対する妄信が凄すぎて、最近少しお疲れ気味】

息抜きにお弁当を食べた後、教室を抜け出して人気のない裏庭を歩く。

真白(一年だし。学校生活困らない程度に、ほどほどに仲良くなれればいっかとか思っていたんだけどー)

(ーーみんな、めっちゃ素直な良い子なんだよね……)

・女子数人でクラスで流行っているゲームをスマホで見ている。
女子「真白ちゃん、招待するねー」
女子「今日の夜、みんなで狩りしない? 宿題あるし21時くらいから」
真白「ごめん、うち、21時以降スマホ禁止なんだ」
女子「そうなんだ」
みんなの心の声(やっぱり深層のお嬢様なんだ)(箱入りだ)
  
女子「じゃあ、休みの日にやろ!」
女子「グルチャするのもなるべく21時までにするね!」
真白「ありがとう」(いい子……!)

真白【私、ピュアなんです!なんて自分で言ってるわけじゃないけど……なんかみんなを騙してるみたい】
良心の呵責にきりきりする胃を押さえる。

◯体育館

中からボールがバシンッと床にぶつかる音がする。

真白【あれーー。体育館、人いる?】

ひょこっと開いている扉から中を覗くとひとりでバレーボールの練習をしている男子がいた。

真白【同じクラスのーー佐伯くん?】
【バレー部なのかな】


真白【うわぁ、高いっ】

高くジャンプする姿に見惚れていると、視線に気付いた純が真白の方を振り向く。

純「うっわ!」
吃驚して声を上げる。

真白「ごめんなさい、勝手に覗いてて」

慌てて引き返そうとすると引き止められた。

純「待って!」

驚く真白と、思わず引き止めてしまってどうしようと固まる純。


純「……入って、大丈夫」

真白(……体育館に用があったわけじゃないんだけど。いっか)

何となくこの場に留まることにした真白はステージの上に腰を下ろして、純の練習を眺める。

真白:迫力のあるスパイクを見てぱちぱち手を叩く。 

真白「いつも練習してるの?」
純「いや、最近始めたばっか……」

真白(訊かれるの嫌だったかな)
歯切れの悪い返事に、余計なことは言わないようにしようと会話を止める。


純「次の試合で引退だから。最後くらい勝てたらいいなってーー他の奴らには言わないで」

真白「うん」
言うつもりはなかったけれど、なんでだろうと首を傾けた。

純「うちはガチで勝ちにいくような部じゃないっていうか、みんなでゆるーく楽しんでやってるからさ。ひとりだけ必死になって負けても、なんかかっこ悪いじゃん」

真白「えっ、なんでっ、かっこいいよ!」
思わず声を張り上げる。

真白「それに弱くても負けても、頑張ってやった方が楽しくない?」

目を丸くした後、破顔した純を見てドキッとする。

純「俺も。そう思う」



真白「良かったら、ボール、あげようか」

真白「うまく、できないかもだけど」
純「助かる」

ステージからぴょんと降りて、転がっているボールを拾い綺麗にトスを上げる。

純「おっ」

さっきよりも高くジャンプして迫力のあるスパイクが決まって、わぁっと興奮気味に拍手をする。

純「すげぇ、打ちやすい」

真白「ほんと?」


純「清流さんも、一本打ってみる?」

真白「いいの?!」
実は身体を動かすことが好きな真白は、ぱああと顔を輝かせた。

純「その辺に上げるね」空中を指差す。

ふわっと上がったボールを力一杯打つ。
バシーンっと鋭い音が体育館に響いた。

純「おお」

純「すげぇ、かっけ……」

真白(あ、これは私っぽくなかったかも……?)

純「勝手に運動苦手な人だと思ってた」

真白:ぎくぅ

真白「え、へへ……」
誤魔化して可愛らしく笑う。

純「すげぇ、かっこいい」

真白(まぁ、いいか)
純の笑顔につられて笑う真白。

・ボールを片付けながら、楽しそうに会話をするふたり。

真白「すっごい、楽しかった! 身体動かすとすっきりするねー」


純「……よかったら」

純「また、やろうよ。俺、最近いつも昼休みはいるから
良かったらいつでも来て」遠慮がちに誘う。

真白「うん……!」

それから真白はお昼休み体育館に通うようになる。

◯昼休み、バレーをするふたりの様子。
最近は少し早めに切り上げて雑談をするようになった。
ステージに座って楽しそうに話している。

真白「これ、女子、みんなやってる」
クラスの女子達と遊んでいるゲーム。
隣に座っている純にスマホを見せる。

純「あー、男子の間でも流行ってるよ」
真白(フレンド、誘ってもいいかな)
そわそわして隣をちら見する。

純「フレンド、申請してもいい?」
真白「うん!」

お互いのスマホを見せ合って申請、承認をする。

真白「あっ、そのゲーム知ってる。従姉がやってる」
純のスマホの画面にあるアイコンを指差す。

純「あ……そう、なんだ」内心ドキッとしている。
真白「難しくて私は脱落しちゃったんだけど」
純「昔、流行ってて……周りがみんなやってたから入れたけど……俺も今は全然やってないよ」
真白「そっかー。従姉は今もやってるみたい」
・話を無理矢理終わらせようとしている不自然な純に気付いていない。


純「そろそろ教室、戻ろうか」
真白「あっ、もうこんな時間だったんだ」

真白【早いなぁ。もう、昼休み終わっちゃった……】

真白【昼休み、短い。もっと話したかったな】

純「また、明日」

真白「うん」


真白【毎日、昼休みが待ち遠しくてそわそわしてる】

真白【なのに、体育館に行く直前はいつも心臓、壊れそうなくらい緊張して、早く行きたいのに引き返したくなる】

真白【東京にいた時にも仲良い男の子はいたけど、こんな風になるのは初めてーー】

真白【今までの子と、なにが違うんだろ】


◯朝、教室
ホームルームまでだらだらっとした空気。

女子1「明日、暇な女子ーちゅうもーく」

女子1「西高校メンズとのカラオケ(合コン)定員2名募集!」

ぎらんと女子達の目が煌る。

女子2「行きたい!」
女子3「あー!!バイトだしー!もっと早く言ってよー」
女子1「急に欠員がでたのよー」
女子4「わーんっ、うちも部活だー」
打ちひしがれる女子達。
 
女子1「あっ! 真白ちゃん、行かない?」

真白「えっ?」
急に名前を呼ばれ、驚いて女子の集団の方を振り返る。

女子1「真白ちゃん来たら男の子たちぜったい喜ぶ!」
女子2「だねー。行こ行こ!」
紗理「ちょっとちょっとーうちの真白に安い男は紹介しないでよー」
※紗理 真白と仲が良い子。

女子1「西校だよ? うちの学校の男子よりずっとレベル高いから! 比べるのも烏滸がましい」
 
聴き耳を立てていた男子たちの悔しげな顔。

紗理「真白、合コンなんて行った事ないでしょ? 大丈夫?」

真白:困った顔で笑う(ごめん、ある……)(たぶん、ここにいる誰よりも)

女子2「何事も経験だよ!」

女子1「そうそう。じゃあ、決まりねー」


◯昼休み

体育館に行くと、純はバレーの練習をしていなかった。
ボールを持ったままステージの上に座ってぼんやりしている。

真白「今日は練習しないの?」
純「あっ、うん。今日はちょっと、体育で疲れちゃって」
真白「男子のサッカー、ハードそうだったもんね」


純「……行くの?」

訊かれていることが理解できていない真白はきょとんとした顔をしている。


純「合コン」
真白「カ、カラオケ?」
(ひゃあっ! 聞こえてたの?!)

純「ごめん、教室で話してるの聞こえてた」

真白「うん、なんか行く流れに……」 
(なんか、佐伯くんに合コン行くの知られたくなかったな)
・なんでそう思うのかはまだ自覚はしていない。

純「行かないで」
真白「えっ」


純「いくら西校(しんがくこう)の奴でも……清流みたいな、慣れない子がそういうとこに行くの危ないよ」

真白:慣れない所か行き慣れてる真白は、たらたらと内心冷や汗を流す。
 
真白「心配してくれてありがとう。でも人数合わせで、ただその場にいるだけだから! 大丈夫だよ」

純「〜〜分かってない」
真白「?」
ぼそっとした小さな声は真白には届いていない。

純「あのね、清流みたいに可愛い子来たら男ってあほだからそのつもりなくても簡単にその気になるしっ、男って危ないんだよ」必死になっているのでちょっと強めの口調。

真白「う、うん……」

吃驚している真白を見て純は冷静さを取り戻す。

純「ごめん……勝手に嫉妬されても意味わかんないよな」

真白(し、嫉妬……?)よく分からなくて内心おろおろしている。

純「急に、言われても困ると思うから、もっと距離縮めてからって思ってたんだけど……」

純の表情が覚悟を決めた顔付きに変わる。

純「俺、清流のこと、好きなんだ」真剣な表情。
 
純「好きだから、行って欲しくない」

真白の顔がぼわっと赤く染まる。

真白【えっ、えっ、え?】


真白【好きってーー私ーー??】

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