純愛コンプレックス
3
3
【ママの条件リストに恋愛禁止がなくて本当に良かった】
・友達に付き合ったことを報告する一コマ。
朋美と紗理はきゃあっと大盛り上がりで喜んでくれる。
◯昼休み
部活を引退した後も、お昼休みはお昼を食べた後、ふたりで過ごすのが日課になっている。
純「あのさ」
緊張した面持ちで真白の方を向く。
純「明後日の、土曜日」
純「……どっか行かない?」
恥ずかしくて直視して言えないので、視線を逸らしている。
真白【行きますーー!!】声にならない喜び。
こくこくと頬を蒸気させて頷く真白を見て純も嬉しそうに笑う。
◯自宅
真剣な面持ちでベッドの上に広げた服を見下ろしている真白の背後では稀莉がパソコンでゲームをしている。
真白「どうしよう……私服が狙った感じのあざと系しかない」
甘めのエロカワ(露出多め)の服を見てうーんと唸る。
真白(黒髪にも合わんし〜)
真白「肩出すのはあり?」
ギンガムチェックのオフショルダーのトップスを身体に当てて稀莉に見せる。
稀莉「あり」
真白「いやらしくない?」
稀莉「えろい」褒め言葉のつもり
真白「だめじゃん!」
真白「うーん、このワンピが戦闘服なんだけど。露出多いかなぁ。どう思う?」丈の短いワンピースを見せる。
稀莉「うん。軽く三人は殺せると思う(男を)」
真白「……やめとくか」
真白【……一応、全身ケアもしとこうかな】
(佐伯くんに限ってないだろうけど。一応ね!)
真白「稀莉ちゃん、今日お風呂一緒に入ろー。背中、シェーピングして」
稀莉「そのワンピなら背中見えないじゃん」
真白「ま、万が一の時の為に、見えないとこも綺麗にしとくに越したことはないし……念の為ね!」
稀莉「水族館行くんでしょ? 背中、見せることなんて絶対なくない?」眉間に皺を寄せて不思議がっている。
真白「そうだね……」(ここに本物のピュアがいた……)
◯土曜日 駅前の広場
店のガラスを見ながら前髪を整える。
真白(なんか地味だったかも)
不安気な顔で全身を見下ろす。
爽やかコーデ(ストライプのシャツワンピと薄いピンクのバレエシューズ ポニーテールにした髪に大きめのリボン)
純「ごめん、待たせてっ……」
真白を見てはっと息を飲む。
純はダボっとしたパーカーにデニムを合わせている。シンプルだけどお洒落な雰囲気。
真白【かっっっ(こよ)!!!!】キラキラ輝く(ように見える)純を見てくぅ〜と噛み締める。
真白【どうしよっ、佐伯くんに比べてーー私、地味すぎん?
家帰って着替えたいっ】
◯回想
洋介のドヤ顔「男はあからさまに見せつけられるエロよりも隠すエロに想像力掻き立てられんだよ」
真白【洋ちゃんのイミフな助言を鵜呑みにするなんて血迷ったわ】後悔
純「可愛い……」
顔を上げると惚けた顔の純と目が合う。
純「っごめん! いま、声、出てたね?! 俺!?」
顔を真っ赤にして動揺する。
二人攫って顔を赤くして俯く。
純:こほっと咳払いして
純「……すっげぇ、可愛い、です」
改まって、小さいな声でぼそっと言う。
真白【洋ちゃん大正解!! ありがと!】心の中でガッツポーズ
純「どうしようか。このまますぐ行く感じでいい?」
真白「うんっ」
歩き出した純の腕にするりと自分の腕を絡める。
純の身体がびくっと大きく反応して隣を見上げると、真っ赤に染まった驚いた顔で真白を見ていた。
真白【しまった!】さーっと蒼白になる。
【ついつい癖でっ、距離感を間違えてしまった】
【佐伯くんにこなれた感出したらダメでしょうっ】
真白「ご、ごめんね!」慌てて離れる。
真白「恋人って、こうするものかなって……おもいまして」パニックになって、しどろもどろ。
気まずい(と感じているのは真白だけ)空気が流れる。
真白「こっちだよね? 行こ行こ!」
純:先に歩き出した真白の手首を掴む。
純「嬉しいけど、あまりくっつくと、俺の理性が死にそうだから」
純「手……繋いでもいい?」
真白「うん……」
真白【なにこの紳士ーー】きゅんと胸が締め付けられる。
◯水族館
館内を周っているふたり。
真白「かっ!」
真白「かっわいいぃっ……」
ペンギンを見て無邪気にはしゃぐ真白を見て目を細める純。
純「お昼食べられるとこ、ここしかないんだよなぁ。混まないうちに食べちゃう? それか周ってから外で食べる?」
純「御手洗、大丈夫? ここ過ぎると出口らへんまでないけど」
純「イルカショーは凄い人だから、今から並んだ方がいいかも」
真白(なんか、凄い慣れてるーー?)
真白「佐伯くん、もしかして、よく来るの?」
純「えっ」
真白「詳しいからーー前に来た事あるのかなと思って」
真白「……デートとか」
純「ないよ、ないない!」
他の女の子と来た事があると勘違いされていると分かって、必死に否定する。
純「妹たち連れて、何度か来たことあるだけ!
慣れないとこだと緊張でグダグダになりそうだったから、知ってる場所の方が、まだ余裕持てそうかなって思って……」
真白「そう、なんだ」ほっとして頬が緩む。
純「清流が初めてだよ、付き合うの」恥ずかしそうに俯く。
真白【〜〜っ!】悶絶。
真白(自分が初めての彼女って、めちゃくちゃ嬉しい……)
真白【……でも、私は純くんに、同じように初めてをあげられないんだよね】
純「疲れた? どっか座って休憩しようか」
表情が暗くなってしまった真白に気付いて、気遣う。
真白「ううん、大丈夫!」
【元彼がいたって、別に悪いことじゃないのにーー】
【私もーーって言えないのが、なんか……苦しいな】
◯教室
朝、真白が教室に入っていくと、待ち構えていたとばかりに朋美が名前を呼ぶ。
朋美「真白ー」真白に向かってちょいちょいと手招き。
朋美「うへへ、紗理がついにやりましまよ!」
紗理「ちょっ、声っ落として!」
朋美「堀田君とーーついにしちゃったらしいよ」
※紗理の彼氏
ぐるんと紗理の方を向くと、トマト並みに顔を真っ赤にした紗理が頬に両手をあてて俯いている。
真白(もしかしてーー大人の階段的な!?)
ぼかしてふたりの禁18 画像を想像。
紗理「……キス、しちゃった」
きゃあっと盛り上がる朋美。
真白(汚れててごめんなさい)
脳内の大人画像をぺいぺいっと振り払う。
朋美「もぉもぉ! どうだったのさ」
紗里「な、なんか、すごかった……」
のぼせた顔で色っぽいため息を漏らす。
朋美「なにそれ!どんな!」
鼻息荒く紗理に詰め寄る。
紗理「もぅ、心臓、やばくて……よく分からないまま、終わっちゃったんだけど」
朋美「ふんふん」
紗理「息できなくて苦しかったし、なんかいっぱいいっぱいで、ちょっと、泣いちゃった」
朋美「泣くほど激しいやつ?!」
紗理「ばか!」
紗理「感動っていうか、感極まっちゃったっていうか……とにかく、凄い幸せで……なんか、もうっもうっ! だよっ!」
言葉にならなくて、バシバシっと隣にいる朋美の腕を叩く。
朋美「で、で、キスだけ?」
紗里「朋美、漫画読みすぎ。初めてでいきなりがっつかないから!」
朋美「そりゃそっかー」
紗理「そういうのは時間を掛けてーー大切にしたいって言ってくれてる」
朋美「おお、かっこいいじゃん。堀田も紗理がファーストキスでしょ」
紗理「うん。今すぐは、まだできないけど。こっから先も……お互いが初めての相手になれるといいねって、言ってくれた」
朋美「きゃあー!!」
真白「……いいなぁ」
思わず漏れてしまった本音にはっとすると、ふたりが目を丸くしてこっちを見ていた。
真白「あ……えっと、仲良くて羨ましいな!」
朋美「真白達はまだなんだー?」
真白(そうっ、何度かデートらしき事はしたけど、いつも手繋ぐだけっ!)(紳士過ぎる! でもそんなとこも好き)
紗理「真白ちゃんたちだって、すぐだよ」
慈愛に満ちた顔で真白の頭を優しく撫でる。
朋美「そうそう。真白がかわいすぎて、手出せないんだよ」
紗理「それは同意」
朋美「でも、真白達も一ヶ月かぁ。そろそろ進展欲しいよね」
真白(そうなの!)心の中で激しく同意。
朋美「でも、真白にはこのまま穢れなき乙女のままでいて欲しい気もするし。ふくざつ!!」
ぎゅっと横から真白に抱きつく。
紗理「分かる」
真白「は、はは……」
真白【いいなぁ、紗理ちゃんは。初めて同士で、これから一緒に同じ気持ちを経験できるんだもんね】
【ーー私も、ぜんぶ、純くんが初めてだったらよかったなぁ】
【ああ……人生、巻き戻したい】
◯学校帰り
いつも純は真白の最寄駅まで送ってくれる。
時間がある時はベンチで話してから帰る。
純「もう着いちゃったか。もっと一緒にいたいけどーーテスト前だし帰って勉強しないとまずいよなぁ」
真白「じゃあ、うちで勉強しない?」
純「えっ!」
純「……いいの?」
真白「うん。うちの方は誰もいないから平気だよ」
純:けろっと家に誘う真白を見て(あ、これは純粋に勉強するやつだ)と理解する。少しがっかり気味。
純「じゃあ、お邪魔していい?」
真白「うん!」
◯家の前
純「でっか……」門の前で家を見て驚く。
真白「二世帯住宅だから」
「左側が従兄の家族が住んでて、右がうち」と純に説明。
純「叔母さん家と二世帯って珍しいね」
真白「元々うちの方は亡くなったおばあちゃん達が住んでたの」
【祖父母の介護を姉夫婦に押し付けて仕事ばかりだった元嫁は父の親戚から死ぬほど嫌われている】
【だから、叔母さんからは娘もよく思われていない気がしてーー実はちょっと、気まずいんだよね】
洋介「おっ」
帰ってきた洋介と鉢合わせ。
真白(うげ)
洋介「おけぇーりぃ」にやにや笑って真白たちを見る。
純「こんにちは。お邪魔します」
礼儀正しくぺこっと頭を下げる。
真白「従兄の洋介です」
洋介「どもども。お噂はかねがね」
純「佐伯純です」
真白「私たち、うちで勉強するから」
洋介「ふーん。おべんきょうかぁ」
にやにやする洋介に、余計な事言わないで!と笑顔で圧を送る。
洋介「どんな勉強でもいいけど、ちゃんと避」
真白「佐伯くん、中入って入って」
(もー!余計なこと言わないでっ!!)
洋介「大事なことだろー」
純「あっ!」
何を言われているのか気付いて茹で蛸みたいに赤くなる。
純「すみません、ご家族の留守中にお邪魔してっ。あの! もちろん、そういうことは一切ないので、信用してください!」
真白(……ないのかぁ)
◯リビング
床に座ってローテーブルで勉強をするふたり。
純「問2って解けた?」
真白「今解けたとこ!」
「えっとね」と純の隣に身体を近づける。
真白:さらりとこぼれ落ちた髪を耳に掛けて純の手元を覗き込む。
純「っ」
ふわっといい香りがして、純は顔を真っ赤にしてのけぞる。
真白「……って感じ。分かるかな?」
顔を上げた真白と目が合って、そのままふたり見つめ合う。
緊張に耐えかねた真白が視線を晒そうと俯くと、純がテーブルの上に置かれた真白の手に自分の手をそっと重ねた。
真白「あ……」
真白の顔も真っ赤に染まって、ドキドキ心臓の音が大きくなる。
純の顔がゆっくりと近づいてきて目をぎゅっと瞑ったところでーー。
稀莉「真白ちゃんー開けてー」
コンコンっとドアを叩く音がして、ふたり真っ赤な顔でがばっと距離を取る。
真白「ま、待って!」
ばくばく激しく鳴る心臓を抑えて真白が慌てて立ち上がる。
稀莉「洋介が持ってけって。オレンジで良かった?」
オレンジジュースとお菓子を乗せたトレーを渡す。
真白「ありがと。……えっと、次からlineで呼んでくれれば自分で取りに行くよ」
稀莉「お前が行って怪しい空気を入れ替えて来いってさ」
どういう意味? と稀莉が首を傾げる。
真白「……なんだろうね?」こてんと同じように首を傾ける。
(洋ちゃん〜〜っ)
まさしく空気がピンク色に染まった絶妙なタイミングだった。
せっかくいい雰囲気だったのにと、洋介に対して恨みがましい気持ち。
真白の後ろをじっと見ている稀莉の視線に気付いて、純の方を振り返る。
真白「えっと、もうひとりの従姉。私たちと同じ歳だよ」
純「……あっ、ああ」
真白「同じクラスの、佐伯くん」
純「お邪魔してます……」
稀莉「ども……」
緊張しているのかぎこちない様子の純と不躾にじーと純を見ている稀莉。
真白【稀莉ちゃん?】
◯部屋
純「もうこんな時間かぁ」
真白「結構捗ったね」
純「な。あー、腹減った」
真白「良かったら、ご飯、食べてく?」
純「いや! さすがにそれは迷惑だからっ!」
真白「大丈夫大丈夫、パパ、どうせ今日も帰ってこないと思うから」
純「えっ!?」
真白「S市の病院で働いてるんだけどね。帰ってもしょっちゅう呼び出されるから、休みの日以外はほとんど病院で寝泊まりしてるみたい」
純「医者なんだ」
純「お母さん……って聞いても」
真白「ママは、今はアメリカでなんか研究ぽいことしてる」
純「すごいね」
真白「すごいよねー」
作ったような顔で笑う真白に純は気遣うような視線を向ける。
・卵が綺麗に巻かれたオムライスとオニオンスープにサラダが並んだテーブル。
純「おおーすげ」
真白が作ったオムライスとスープを見て感動したようにきらきら顔を輝かせる。
純・真白「いただきまーす」
純「めっちゃうまい」
真白「良かった!」
純「俺、オムライスって卵ぐちゃぐちゃにしたやつしか作れないや」
真白「ふわふわのも美味しいよね」
純「ふわふわってかぐちゃぐちゃだけど」
真白「コツが分かれば簡単だよ。今度はふわふわの方作るね」
純「いつも、自分でご飯作ってるの?」
真白「たまにね。いつもは叔母さんがうちの分も作ってくれるから」
純「叔母さんたちと一緒に食べてるんだ」
真白「んーん。向こうで食べる時もあるけど。自分で適当な時間に食べる方が気楽だからこっちでひとりで食べてる。
家族団欒に入るのも気兼ねするしね」
◯玄関
純「お邪魔しました。遅くまでごめん」
真白「全然平気ー。うちはもっといてくれてもいいくらいだよ」
純は「えっ、やっ、それは、ちょっと」とドギマギしている
真白「ひとりで家にいると時間が立つのが遅くて……することないんだよね」
寂しそうに笑う真白。
真白「って、勉強しろって話だけど。あっ、もう帰らないとだよね。純くんの家族が心配しちゃう!」
純「や、うちは全然、放任だから大丈夫だけどーー」
真白「また来てね」
純「うん。じゃあ、また明日」
純:帰ろうとドアに手を掛け、振り返って戻って来る。
真白「どうしたの……」
上がり框に立っている真白の両腕に触れて、そっと唇を重ねた。
一度顔を離して、片手を真白の頬に添えて優しく角度を変えさせてから二度目の口付けを交わす。
純「……この高さだと、キスしやすい」と照れながら微笑む。
真白:言葉が出なくて、両手で口元を隠してこくこくと頷く。
大きな身体を覆い被せるようにして真白の身体に腕を回して、ぎゅっと抱きしめる。
純「じゃあ、家着いたらまた連絡するから。戸締り、ちゃんとして!」
真白:純がいなくなった玄関で立ち尽くして、余韻に浸る。
◯夜
真白の家。
洋介がリビングに入ってくる。
真白:ソファの上で膝を抱えて座っている。
洋介「なに、さっきまで彼氏と濃厚ちゅーして浮かれてたくせに、人生ドン底みたいな顔しちゃって」
真白「なっ!!」(見たの!?)
洋介「やっぱな。チューくらい絶対やってると思った」
鎌かけてきた洋介にクッションを投げつける。
洋介「で、蜜月の最中、何を悩んでんの」
真白の隣にどかっと腰を下ろす。
真白「ーー彼氏が可愛すぎて困ってる」
洋介「しあわせそうでなによりだよ」
少し考えて、口を開く。
真白「……私にとっては佐伯くんが初めての彼氏みたいなものなんだけど……」
洋介「うっわ残酷。元カノにそれ言われたら傷つくわぁ。
せめて元彼として全員カウントはしてやれよ」
真白「佐伯くんといると、今までの恋愛って、ちゃんとした恋愛とは違ったなって思うんだよ」
洋介「お前、自分にとって都合の悪い過去を無かった事にして自分の過去を綺麗に見せるのはずるくね? 相手にも失礼」
真白:ぐさっと言葉が胸にささるようす。
真白「……ごもっとも」
洋介「それに、初めてが純粋で綺麗な恋愛って感覚もどうかと思うわ。経験値でマウントとるのもダっセーけど、初めてが史上主義な価値観も気持ち悪りぃな」
真白「気持ち悪い……」
洋介「初めてが純粋って基準おかしくね? 二人目以降は全部不純なんか。初めてだろーが何人目だろーが好きな相手とする事なら、どっちが上も下もないだろ」
真白「洋ちゃんだって、好きな人に過去他に付き合った人がいるより、自分が初彼の方が嬉しいでしょ?」
洋介「そうだったら嬉しいとしてもだな、そんなのおまけの特典くらいのもんじゃね。そうでなくても相手に対する気持ちは同じだわ」
洋介「お前だって、その彼氏が過去に彼女がいてあれこれしてたら、好きじゃなくなるわけ?」
真白「ならない……」
洋介「お前はよく、本当の自分とか、今の自分が嘘みたいに言うけど俺にとっては同じだし、向こうにいた頃のお前も、俺には多少無理して作ってたように見えてたよ」
洋介「まぁ、身内贔屓だけどな。過去に十人彼氏がいようと十人セフレがいようと、お前はいい子だよ」
真白「……勝手に人の恋愛遍歴塗り替えないでください」
ガチャっとドアが開いて、稀莉が入ってくる。
稀莉「洋介、いたんだ」
真白「稀莉ちゃん。どした?」
稀莉「あのさ、さっきのあの人……真白ちゃんの彼氏」
真白「うん?」
しーん
稀莉「…………かっこいいね」
真白「うん」
しーん
真白「えっと、佐伯くんがどうしかした……?」
稀莉「……ううん。なんでもない。おやすみ」
真白(????)
(なんだ?)
真白(稀莉ちゃんの言動が謎なのも別にめずらしくもないか)まぁいいや とソファに座ってテレビを付ける。
真白(でも、稀莉ちゃんが男の子の事気にするの、珍しいな)少し疑問が残った感じの顔。
洋介「なんだー? あいつ」
洋介「まさか惚れたか」
真白「えっ!?」
洋介「いや、冗談だよ」
洋介はまさかという顔で「稀莉に限ってありえねぇわ」と言うが、真白は先日純が来た時の稀莉の様子を思い出して狼狽える。
真白【えっ、マジのマジに稀莉ちゃん、純くん一目惚れ説って、ある?】