この結婚に愛はないと思っていたのに、懐妊してから御曹司旦那様にめちゃめちゃに愛されてます♡
お見合いは、国内でもトップクラスに入ろうかという高級ホテルで行われた。
「はじめまして、鞠花さん。これから、息子をよろしくね。孫の顔を見れる日を、楽しみにしております。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。至らないところも多々あるかと思いますが、どうかよろしくお願いします。」
肝心の見合い相手は、会社のトラブルだとかで、まだ来ていない。それまでは、この胡散臭い笑顔の、義父様と義母様のお相手だ。
「悠人は、後もう少しで来るらしいわ。それまでは、」
義母の言葉が終わるより先に、個室のドアが開き、スーツ姿の美青年が入ってきた。
「申し訳ありません、会社のトラブルを解決していて遅れてしまいました。改めまして、狭山悠人と申します。よろしくお願いします。」細身で目元が涼しく、きりっとしている。唇に浮かんだ微笑は、余裕を感じさせた。
なんだか、こなれてて、美しい人。中身も良さそうね。私の相手として、不足はないわ。それが、鞠花が悠人に対して感じた、第一印象だった。
「・・・それでは、後はお二人で、ごゆっくりどうぞ。」
一通り、退屈な自己紹介や、堅苦しい趣味の話が終わって、2人の時間がとられた。鞠花の想像以上に、悠人は外見だけでなく、中身も知性があって、気の利いた、親しみやすい人だった。
しかし、これまでただ親に従って話し続けていた鞠花には、2人きりの時間など、気まずいだけだ。