この結婚に愛はないと思っていたのに、懐妊してから御曹司旦那様にめちゃめちゃに愛されてます♡
「鞠花さん、少し外へ出ませんか?少しお話したいことがあって。」
悠人が話しかけてきた。大企業で社長をやっているだけあって、こういう段取りは得意らしい。
「ええ、良いですね。ここの庭園は、とても綺麗だそうで、密かに楽しみにしていたんです。」
「ははっ、そうだったんですか。じゃ、行きますか。」
そうして連れてきてもらった庭園は、評判通りの美しさだった。
季節の花々が咲き乱れ、華やかではあるが、とても可愛らしい、素敵な花園だった。
「わぁ、とっても綺麗です!」
思いがけず声が出てしまい、赤くなりながら慌てて口を抑えた。悠人は、嬉しそうに笑っている。
その笑顔は、美しい庭園に相まって、まるで、花畑の王子様だ、と鞠花は思った。
「そうですか、良かったです。花が好きなんですか?」
「花が好きというよりは、一生懸命に生きているものが好きなんです。
こんな野畑に咲いているような小さな花でも、一生懸命に生きているのが、いじらしくて、可愛くて…、
生き物って、懸命に生きているだけで、素晴らしいものだと思うんです…。
すいませんっ、わたくし、話しすぎましたわね。」
つい夢中になってしまった。変に思われてはいないだろうか。そっと悠人を見上げる。
「いいえ、ぜんぜん大丈夫です。とっても素敵な考えだと思います。私には、その考えはありませんでした。」
変わらない笑顔に、ホッとするのもつかの間、先程悠人が口にしていたことを思い出す。