この結婚に愛はないと思っていたのに、懐妊してから御曹司旦那様にめちゃめちゃに愛されてます♡

悠人さんの正体

「単刀直入に聞く。お前、この結婚を、そして俺を、どう考えている。」
え。お前？お前、って…、
鞠花は愕然とした。
しかし、この賢い姫が、この不可解な状況に苦しんだのは、十数秒のことだった。

なるほど、コイツも私と同類だわ。本当の顔がこっちなのね。これまでは猫を被っていただけで。
それにしても、誰に対して物を言っていると思っているのかしら？今更に、沸々と怒りが湧いてくる。

いくら婚約相手とはいえ、大名家・亜里紀家の、しかも一姫だ。いくら狭山家の令息様でも、言い過ぎだ。そんなことをいって、許されはしないはずだ。

「悠人様。お前とは、どちら様のことを指すのでしょうか？」

怒りを抑え、精一杯にっこりわらって、言う。がしかし悠人は　お前のことだ、馬鹿。　そつなく返してきた。
そう。そうですか。流石に我慢の限界だ。そちらがその気なら、こちらが同じようにしても、問題はないはず。
鞠花の中で、怒りが弾けた。