この結婚に愛はないと思っていたのに、懐妊してから御曹司旦那様にめちゃめちゃに愛されてます♡
悠人さん=ゆうちゃん!?
悠人はおかしそうにニヤニヤ笑っている。
鞠花は呆けたように悠人を見つめた。
まり…私のことをそう呼ぶのは、あのひとだけだ。
大切な記憶の中にしまってある、大好きな人。
ということは…あのひとは、悠人だったのだろうか?
ゆうちゃんと、悠人。確かに似てるわね…

「もう一度聞くが、いや、聞くというよりは、もはや確認に近いが、結局のところ、お前はこの結婚についてどう考えている?」

これは…本音を言っても良いのかしら。迷っていると、悠人の真剣な眼が見えた。
真っ直ぐな光が瞬いていて、美しい、その眼をじっと見つめる。
良家の子女として生きてきたのだから、その分、人を見る目は確かだ。

大丈夫だ。この人はきっと、信頼できるひとだ。気づけば、すっと言葉が出てきていた。

「私にとって、この結婚は、家同士の契約の1つに過ぎません。恋愛感情のまったくない、お互いの利益だけのために結ばれた結婚です。私は、この結婚に対して愛は期待していませんし、望みもしません。ただただ、亜里紀家のための道具として働くだけです。」

「そうか…」
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