この結婚に愛はないと思っていたのに、懐妊してから御曹司旦那様にめちゃめちゃに愛されてます♡
以外に素直に反応してくれている事に、鞠花は驚愕した。
いい家のお姫様が、こんな現実を主張するなんて、世間では、姫御がグレたと思われてもおかしくないようなことだ。
ましてや、悠人は当の結婚相手なのだ。
起こってくるか、反論してくるか、だと思っていたのに。

あぁ、と鞠花は声を漏らした。やっぱり、こいつは、あいつだ。
人の考えを絶対に否定せずに、ちゃんと聞いてくれる。
人に親しみを感じさせる容姿。
間違いない。考えてみれば、あのひとにそっくりではないか…

「まだ気づかないのか、鞠。俺だよ、ゆう…ちゃんだよ!」
まり、と先ほどと同じ呼び方で呼ばれる。

つぅっ、と頬をつたったものが、涙であることに気づくのは、本人よりも悠人のほうが早かった。
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