この結婚に愛はないと思っていたのに、懐妊してから御曹司旦那様にめちゃめちゃに愛されてます♡
「お、おい。なんで泣いてるんだ?」
悠人が慌てる。その姿を見て、鞠花はようやく、自分が涙を流していることに気がついた。

「本当に、ゆうちゃん、なんだよね…。会いたかった…」

ゆうちゃん。

幼い頃、ずっとそばにいて、一緒に笑い合って、一緒に泣いて、いつもいっしょで、大好きだった子。
あの頃は、彼が名家の御曹司だなんて知らなかった。ただ、ゆうちゃんという、一人の大好きな大切な友達。
相手の家柄なんて関係なく、楽しく過ごせたのは、これまで生きてきた18年間の中で、彼だけだった。
いつしか、ゆうちゃんは私の前に現れなくなっていった。

でも、彼は、私の心の中にずっといた。辛いときはそのことが支えになったし、それがあったからこそ、今の鞠花があるといえる。

それが、今、また再会できているなんて。鞠花は悠人を見つめた。
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