男装して婚約者を演じていたらお兄様に目をつけられてしまいました
お兄様に嫌われてしまったようです
人生何が起きるかわからない。
裕福ではないが、それなりに恵まれた環境で育ってきた私の人生が一転したのは大学四年の夏だった。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
母が泣きながら謝る横で父は魂が抜けたように肩を落として虚な目で天井を見上げていた。大学一年生の弟も、高校一年生の妹も放心状態で何が何だかという表情を浮かべている。
母が涙ながらに話した内容をまとめると同窓会で久しぶりに会った学生時代の共通の知人に投資話を持ちかけられ、今後もかかり続ける教育費の足しになるならと少額投資を始めた。一回目、二回目の配当金の大きさに夢を持ってしまったことで両親はあらゆるところからお金を借りて、高額投資に踏み切った。
結果は言わずもがな。
知人は突如として行方をくらまし、渡したお金は返金されず、ありとあらゆる場所から借りた一千万の返済だけが残った。
私の大学は前期後期で学費を分けて支払う。つまりまだ後期の学費は支払われていない。
「学校は?」
「ごめんなさい」
残された貯蓄額では全員を通わせ続けることはもはや無理だった。
内定ももらい、あとは卒論を書くだけだった私は大学中退となり、内定取り消しにされ、フリーターになった。
あれから一年、日中夜働き続け、弟と妹の学費の不足分は私のバイト代でなんとか補っている。それでもまだ両親の借金は満額と言っていいほど残っている。夜間の交通整備のバイトの後、フラフラしながら駅まで歩いていく。夏バテなのか、働きすぎなのか、最近は食欲がなく、寝つきも悪い。このままだとダメだと思いつつも一日、また一日と過ぎていく。今日もまたなんとか乗り切れるだろうと甘く考えていたのが運の尽き。横断歩道を渡ろうとしていたらプツリと記憶が途絶えた。
裕福ではないが、それなりに恵まれた環境で育ってきた私の人生が一転したのは大学四年の夏だった。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
母が泣きながら謝る横で父は魂が抜けたように肩を落として虚な目で天井を見上げていた。大学一年生の弟も、高校一年生の妹も放心状態で何が何だかという表情を浮かべている。
母が涙ながらに話した内容をまとめると同窓会で久しぶりに会った学生時代の共通の知人に投資話を持ちかけられ、今後もかかり続ける教育費の足しになるならと少額投資を始めた。一回目、二回目の配当金の大きさに夢を持ってしまったことで両親はあらゆるところからお金を借りて、高額投資に踏み切った。
結果は言わずもがな。
知人は突如として行方をくらまし、渡したお金は返金されず、ありとあらゆる場所から借りた一千万の返済だけが残った。
私の大学は前期後期で学費を分けて支払う。つまりまだ後期の学費は支払われていない。
「学校は?」
「ごめんなさい」
残された貯蓄額では全員を通わせ続けることはもはや無理だった。
内定ももらい、あとは卒論を書くだけだった私は大学中退となり、内定取り消しにされ、フリーターになった。
あれから一年、日中夜働き続け、弟と妹の学費の不足分は私のバイト代でなんとか補っている。それでもまだ両親の借金は満額と言っていいほど残っている。夜間の交通整備のバイトの後、フラフラしながら駅まで歩いていく。夏バテなのか、働きすぎなのか、最近は食欲がなく、寝つきも悪い。このままだとダメだと思いつつも一日、また一日と過ぎていく。今日もまたなんとか乗り切れるだろうと甘く考えていたのが運の尽き。横断歩道を渡ろうとしていたらプツリと記憶が途絶えた。