男装して婚約者を演じていたらお兄様に目をつけられてしまいました
因縁があるようです
何を隠そう私、白井世奈は料理に全く興味がない。
美味しいものを食べるのは大好きだが、それを自分で再現したり、美味しいものを作り出そうという意欲は全く持ってない。なんなら、三食誰かが作った美味い飯を食べるだけの生活が理想である。自分で作る食事なんて面倒だし、ザクっと切ってパッと炒めて市販のソースや調味料をパパッと絡めてやればそれなりに食べられるのだから、料理を勉強するなんてこと考えたこともなかった。
そんな私は、かくかくしかじかで料理教室に通うことになった。丸留さんの運転で連れて行かれた料理教室は高級住宅街にあった。時間が遅いせいか生徒は主婦ではなく、お金持ちそうな20代から30代の女性たち。男性は頼人さんと丸留さんだけ。男性のエプロン姿も新鮮だ。
「お兄様、世奈様、いかがかしら」
丸留さんにエプロンを上手に着せてもらったルココちゃんが一回転して見せる。
「いいんじゃないか」
「とても可愛いです」
今日のルココちゃんは、料理をすると分かっているからか、メイド服のように動きやすさ重視のスタイル。それでもルココちゃんらしさは損なわれておらず、お人形のように可愛い。褒められて嬉しそうにするルココちゃんを見ているとこちらも嬉しくなる。
「男三人引き連れて料理教室って」
真後ろの席からクスクスと小さな声が聞こえてくる。ルココちゃんには届いていないだろうが、私には聞こえた。
男三人……。
なんだか今更感があって彼らの前では化粧はしていないし、美容室代も出してもらえるのでショートヘアのままの私は服装も相まって男に見えなくはない。いや、男に見えるらしい。ってか、そっちじゃないだろう私。完全にルココちゃんへの悪口じゃないか。
ここは堂々と女ですと宣言して黙ってもらおうか。
私が後ろを振り返ろうとした瞬間、隣にいた頼人さんに腕をガシッと掴まれて動きを止められた。頼人さんはルココちゃんに話しかける。
「こういうところに来るのは勉強になるが、俺一人では来れなかったから助かったよ」
そういえば、この人は妹には激甘だった。後ろの女性たちの声は、私に聞こえたんだから頼人さんにだって聞こえていたんだ。そして聞いてしまえば黙ってはいられない。
ルココちゃんは頼人さんの言葉にニコッと微笑んだ。丸留さんは何かを察してか、フォローに入る。
「料理というのは正解がないものですので、プロの料理人から学べるのは貴重な経験でございます」
これで周りはルココちゃんが集めたメンバーという認識から頼人さんや丸留さんが興味を持って募ったメンバーだと思ってくれた人もいるだろう。そしてここにはルココちゃんを気づつける者から守る人がいても私が男性と誤解されてそれを気にする人はいないらしい。
美味しいものを食べるのは大好きだが、それを自分で再現したり、美味しいものを作り出そうという意欲は全く持ってない。なんなら、三食誰かが作った美味い飯を食べるだけの生活が理想である。自分で作る食事なんて面倒だし、ザクっと切ってパッと炒めて市販のソースや調味料をパパッと絡めてやればそれなりに食べられるのだから、料理を勉強するなんてこと考えたこともなかった。
そんな私は、かくかくしかじかで料理教室に通うことになった。丸留さんの運転で連れて行かれた料理教室は高級住宅街にあった。時間が遅いせいか生徒は主婦ではなく、お金持ちそうな20代から30代の女性たち。男性は頼人さんと丸留さんだけ。男性のエプロン姿も新鮮だ。
「お兄様、世奈様、いかがかしら」
丸留さんにエプロンを上手に着せてもらったルココちゃんが一回転して見せる。
「いいんじゃないか」
「とても可愛いです」
今日のルココちゃんは、料理をすると分かっているからか、メイド服のように動きやすさ重視のスタイル。それでもルココちゃんらしさは損なわれておらず、お人形のように可愛い。褒められて嬉しそうにするルココちゃんを見ているとこちらも嬉しくなる。
「男三人引き連れて料理教室って」
真後ろの席からクスクスと小さな声が聞こえてくる。ルココちゃんには届いていないだろうが、私には聞こえた。
男三人……。
なんだか今更感があって彼らの前では化粧はしていないし、美容室代も出してもらえるのでショートヘアのままの私は服装も相まって男に見えなくはない。いや、男に見えるらしい。ってか、そっちじゃないだろう私。完全にルココちゃんへの悪口じゃないか。
ここは堂々と女ですと宣言して黙ってもらおうか。
私が後ろを振り返ろうとした瞬間、隣にいた頼人さんに腕をガシッと掴まれて動きを止められた。頼人さんはルココちゃんに話しかける。
「こういうところに来るのは勉強になるが、俺一人では来れなかったから助かったよ」
そういえば、この人は妹には激甘だった。後ろの女性たちの声は、私に聞こえたんだから頼人さんにだって聞こえていたんだ。そして聞いてしまえば黙ってはいられない。
ルココちゃんは頼人さんの言葉にニコッと微笑んだ。丸留さんは何かを察してか、フォローに入る。
「料理というのは正解がないものですので、プロの料理人から学べるのは貴重な経験でございます」
これで周りはルココちゃんが集めたメンバーという認識から頼人さんや丸留さんが興味を持って募ったメンバーだと思ってくれた人もいるだろう。そしてここにはルココちゃんを気づつける者から守る人がいても私が男性と誤解されてそれを気にする人はいないらしい。