男装して婚約者を演じていたらお兄様に目をつけられてしまいました
料理教室を出ると頼人さんはルココちゃんに尋ねた。
「今日はもう遅い。白井さんは俺が送る。ルココが嫌ならタクシー代を俺が出すがどうする?」
確かに門限はとっくの昔にすぎているわけだし、明日も学校があるルココちゃんは早く家に帰った方がいい。もちろん頼人さんも明日は仕事だ。
「頼人さんも明日は仕事ですし、私は電車で帰りますから大丈夫ですよ」
「そういうわけにはいかん。ルココどうする?」
「お兄様に送っていってもらいたいですわ」
「分かった。君はこっちに乗れ」
ルココちゃんは丸留さんが運転した車に乗り、私は頼人さんの運転手が回した車に乗り家路についた。
+++
僕は生まれながらについていた。料理研究家の母と会社経営者の父のもとに生まれ、容姿にも恵まれていた。幼い頃から良いものばかりを食べていた僕はなるべくしてレストラン経営者となった。雑誌にも多く取り上げてもらい、店は大繁盛。本も出したし、レトルト食品も出し、イベントも出て、大人気。料理教室の講師を依頼された時は正直面倒だと思ったが、教室は高級住宅街で生徒は9割女性だと聞き悪くないと思った。実際、可愛い子にも会えるし、夫に飽きた奥様方は足繁くレストランへ足を運んでくれる太客になる。今回も可愛い子はいないか楽しみにしていた。
教室に入るなり黄色い声援。まあまあ、この僕を目にしたら叫びたくなるのも分かる、分かる。ふんふんふん。悪くない。おっと、服装は気になるが、一際可愛い子がいるじゃないか。てか、待て。男がいるじゃないか。生徒は女性のみというのが暗黙の了解だろう。教室が終わり、控え室に戻る。
「今日はもう遅い。白井さんは俺が送る。ルココが嫌ならタクシー代を俺が出すがどうする?」
確かに門限はとっくの昔にすぎているわけだし、明日も学校があるルココちゃんは早く家に帰った方がいい。もちろん頼人さんも明日は仕事だ。
「頼人さんも明日は仕事ですし、私は電車で帰りますから大丈夫ですよ」
「そういうわけにはいかん。ルココどうする?」
「お兄様に送っていってもらいたいですわ」
「分かった。君はこっちに乗れ」
ルココちゃんは丸留さんが運転した車に乗り、私は頼人さんの運転手が回した車に乗り家路についた。
+++
僕は生まれながらについていた。料理研究家の母と会社経営者の父のもとに生まれ、容姿にも恵まれていた。幼い頃から良いものばかりを食べていた僕はなるべくしてレストラン経営者となった。雑誌にも多く取り上げてもらい、店は大繁盛。本も出したし、レトルト食品も出し、イベントも出て、大人気。料理教室の講師を依頼された時は正直面倒だと思ったが、教室は高級住宅街で生徒は9割女性だと聞き悪くないと思った。実際、可愛い子にも会えるし、夫に飽きた奥様方は足繁くレストランへ足を運んでくれる太客になる。今回も可愛い子はいないか楽しみにしていた。
教室に入るなり黄色い声援。まあまあ、この僕を目にしたら叫びたくなるのも分かる、分かる。ふんふんふん。悪くない。おっと、服装は気になるが、一際可愛い子がいるじゃないか。てか、待て。男がいるじゃないか。生徒は女性のみというのが暗黙の了解だろう。教室が終わり、控え室に戻る。