ファースト・ラブ
「勉強、大変ですか?」
「うんまぁまぁ。」
俊先輩がおいしそうにアイスを食べる。
「2年生のこの時期しといた方がいいことありますか?」
「勉強以外のことじゃない?」
「え?」
「3年生になったら嫌でも勉強しなきゃいけないから。」
「そっか」
「うん。好きな人とかいるでしょ?」
「えっ」
アイスがボトって落ちて、アスファルトに黒いシミになった。
「あ、いるんだ。」ふふふって俊先輩が笑う。
「…。」
「わかり易っ」
「俊先輩は、好きな人いるんですか?」
「いるよ。」
「えー!?」
俊先輩が、えー!?って私の真似をして目をおっきくあけて、手を口で押さえる。
「俺に好きな人がいたらだめ?」
だめっていうか…だめです…。胸がザワザワする。
「彼女?」
「彼女じゃない。」言ってから、付け加える。「彼女いないし。」
「ふ〜ん」
「ふ〜ん、って笑 コイツ3年にもなって彼女いないんだ~モテないんじゃないの、って思った?」
「思ってないですよ!」
むしろモテすぎて困っちゃう。口が尖る。