ファースト・ラブ
通りすぎてからほっと息を吐く。
良い人たちでよかった~。
舌打ちとかされたらどうしようかと思った。

「ひとりでやってるの?」

通り過ぎたと思った集団から、ひとりが残って側に立っていた。

「えっ、あ、はい…」

「大丈夫?気づかなくてごめんね」

えっ”気づかなくてごめんね”…?
同じクラスでもないのに、なんでこの人がそんなこと言うんだろう。
困惑が、表情に出ていたんだと思う。

「俺、3年2組なの。君のクラスの隣で準備してる。」

文化祭の会場は、いつも授業を受けている教室ではなくて、シャッフルで決められている。今年は私たち2年2組の教室の隣が、3年2組だった。

その人は、散らばったブロックを手際よく拾い集め始めた。

「あっ、あの、大丈夫です。先輩は自分のクラスの準備がありますし」

「ひとりぐらいいなくても平気でしょ。あいつら遊んでるし。」


先輩が、3年2組の会場の廊下でふざけてる人たちを見て笑う。
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