ファースト・ラブ

風が止まって、一瞬あたりがシン…と静まる。その瞬間、俊先輩が私の唇に触れた。


キスした。


その瞬間、舞い落ちるイチョウの葉とか、遠くで聞こえる車の音とか、世界全部ゆっくりになった。

びっくりして、涙がひっこむ。

顔が離れて、至近距離で目が合う。
私は、自分の制服の胸元をぎゅって握った。
「水野は、俺のこと、好き?」
俊先輩の、見たことない表情。

頷く。

俊先輩が、「俺もだよ。」って、眉尻を下げる。
「俺も、水野のことが好き。」

風がふわって吹いて、イチョウの葉がはらはらと舞う。

「はあ、なんだ…。」俊先輩が、脱力したようにその場にしゃがみ込む。「良かったあ~……。」

「もうずっと、水野と喋れなかったら、どうしようかと思った…。」

俊先輩が私を見上げて、はにかむ。
耳が真っ赤になっていた。




「おめでとう!おめでとう日葵!!」


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