ファースト・ラブ
吉沢のところに行く。近くに椅子を2つ置かれる。
「そこ座れ。」
須藤はハァ〜と溜息をついて座る。「もうまたかよ」と言わんばかりのため息。
担任が、まず、須藤の前に進路希望調査の紙を置く。
須藤の第一志望は1学期も、そして2学期も関東では名の知れた頭のいい国立大学で。
「お前は、もっと上の大学にいける。俺が、保証する。ただ、上げるなら、もうこれがラストチャンスだ。ほんとにここでいいのか?」吉沢が、須藤の進路希望調査票を指さす。それは、綾と一緒に志望している大学だった。
それから、須藤の、今回の模試の結果を机の上に置く。
「え…」
思わず、須藤の顔を見る。
そこには須藤は、第5希望の欄に「東大」書いていた。
「C判定…すげ〜…」
飄々と涼しそうな顔をする須藤の横で、あほみたいな声を漏らす俺。
須藤が第一志望に書いた学校は綾と同じ大学だったが、A判定だった。
「こんな言い方はしたくないけど」担任が頭をポリポリ掻くく。「A判定なんて、第一志望にするところじゃないんだよ。」
それでも何も言わない須藤に。
吉沢が「あのな、可愛い女の子なんて、大学にごまんといるぞ」と、冷ややかな目をした。
そういう担任だった。