ファースト・ラブ
担任が、進路希望調査の紙を須藤に渡した。「もっかい書いてもってこい。」
須藤がチッって舌打ちをする。




吉沢は、やれやれという感じで、首を掻く。
それから、今度は俺の方を向いて、俺の進路希望調査票を取り出す。


第一志望・慶応大学。
「慶応、本気なの?」


「まあなんか…慶応、かっこいいかなって。」


「浪人だよ。」吉沢が間髪入れずに言う。そして、付け加える。「今のままだと。」


俺は、ゴクリ、と唾を飲み込んだ。





.






それから俺はめちゃくちゃ勉強した。




放課後とかも、わからないことはめちゃくちゃ須藤に聞いた。
「なあなあなあ須藤、この問題分からん。」


「これは、」


こうで、こう、で、この公式を使って〜。


「あーそういうことか、なるほどなるほど。」


須藤がパン!ってシャーペンを机に置く。


「なんかお前、キモいわ!頭おかしくなったんか!?」


< 43 / 61 >

この作品をシェア

pagetop