ファースト・ラブ
部活が終わった18:00頃、パタパタと廊下を歩いてくる足音。放課後になると、ひまちゃんが迎えに来る。
その日はちょうど、須藤に数学を教えてもらっているところで、黒板一面に数式が並んでいた。
コンコン、って教室の後ろのドアをノックされて、須藤と俺で振り向くと、顔を覗かせるひまちゃん。
「わあ。」黒板を見て、目をおっきくする。「どうぞ、続けてください」
前の方の席に座る。
その後も俺と須藤のやりとりを楽しそうに見てるひまちゃん。
受験期の張り詰めた空気が一瞬、緩んだ気がした。
.
「綾先輩が、『拓海ってめっちゃ頭いいんだ〜』って、嬉しそうに言ってました。」
「え?ほんとに?」
須藤がひまちゃんを見る。
「東大がC判定だったー!って」
「え、俺言ってないんだけど」
思い当たるとしたらひとり。「あいつだ…」
「吉沢だ。余計なことするわ…。」
「東大にすればいいじゃん。」
「もう、してる。」
高校3年生の11月。
気がつけば、冬の香りが辺りに漂い始めていた。
その日はちょうど、須藤に数学を教えてもらっているところで、黒板一面に数式が並んでいた。
コンコン、って教室の後ろのドアをノックされて、須藤と俺で振り向くと、顔を覗かせるひまちゃん。
「わあ。」黒板を見て、目をおっきくする。「どうぞ、続けてください」
前の方の席に座る。
その後も俺と須藤のやりとりを楽しそうに見てるひまちゃん。
受験期の張り詰めた空気が一瞬、緩んだ気がした。
.
「綾先輩が、『拓海ってめっちゃ頭いいんだ〜』って、嬉しそうに言ってました。」
「え?ほんとに?」
須藤がひまちゃんを見る。
「東大がC判定だったー!って」
「え、俺言ってないんだけど」
思い当たるとしたらひとり。「あいつだ…」
「吉沢だ。余計なことするわ…。」
「東大にすればいいじゃん。」
「もう、してる。」
高校3年生の11月。
気がつけば、冬の香りが辺りに漂い始めていた。