ファースト・ラブ
「ずっとここで勉強してたんだね。」


数研を見回す。
吉沢先生の席の隣には特設で置かれた俊くん専用の机があって、俊くんの参考書がびっしり置いてあった。




「吉沢、案外いい奴だよ。」



「うん、知ってるよ。」

女子からは前からめっちゃ人気だよ、とは言わなかった。


.




「これ渡しに来た。」


今日は2月4日、俊くんの誕生日。


手作りのチョコレートを詰めた箱を俊くんに渡す。




「お誕生日、おめでとう」


それと、手作りの御守り。


「合格祈願!明日、初めての試験、がんばってね。」






「ありがとう。明日これ持ってくわ。」




キーンコーンカーンコーン
4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴る。




昼休みになると、中庭に生徒が出てきて、男子たちが雪で遊び始めた。それを教室の窓から眺めて笑ってる女子。




「はは、いいなあ」


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