ファースト・ラブ
「ちょっと俊あんたボタンは!?」
綾先輩が俊くんの学ランをめくる。
「あるあるある。一個とっといた。」
ポケットから取り出され、俊くんの手のひらに乗ったボタン。「ひまにあげようと思って…。」
俊くんが首筋をポリポリ掻きながら、ん、って私に差し出す。
周りの生徒たちがわぁ、って声をあげる。
「ん、じゃなくて、もっとなんかあるでしょ言うことが!」
綾先輩が足をバタバタさせる。
「うるさいな!それをここでやれって言うのかお前は!?」
それを見てユイがフフ、って笑う。場に少し涼しい風が吹いた(様な気がした)。
そんなやりとりを見て、また私は涙ぐんでしまう。
先輩たち、卒業しないで。
綾先輩が「私たちもかわいい後輩を持ったねえ」って頭を撫でてくれる。