三人が離れてくれませんっ




今更、また高校を変えるわけにはいかない。




門の前で立ち尽くすわけにも。





「……行くか」




わたしの高校生活第一歩、大きく踏み込んだ──







「紫乃……?」



「ん?」





大股の一歩がグラウンドについた時、横から声にをかけてきた方には学ラン姿の男の子がいて……

わたしは首を傾げた。……なんで名前知ってるんだろ。



踏み出した足を戻して男の子に向き直れば、男の子は小走りでこちらに寄ってきた。




「やっぱり、お前紫乃だろ」


「えっと……わたしのこと知ってるんですか?」



目の前に立つ黒髪の子とわたしは知り合った記憶はない。
さっぱりわからないわたしに少し、拗ねた顔をする。



東雲愁(しののめしゅう)だ。ガキの頃、近所だった愁」



しののめ……しゅう──



近所というワードにわたしの中に記憶がよみがえってきた。





「もしかして、しゅーちゃん!?」


「しゅっ……まぁ、そうお前が呼んでた愁だよ俺は」




──うっそ……




頭を掻きながら不服そうにする、しゅーちゃん。





< 3 / 35 >

この作品をシェア

pagetop