三人が離れてくれませんっ
今更、また高校を変えるわけにはいかない。
門の前で立ち尽くすわけにも。
「……行くか」
わたしの高校生活第一歩、大きく踏み込んだ──
「紫乃……?」
「ん?」
大股の一歩がグラウンドについた時、横から声にをかけてきた方には学ラン姿の男の子がいて……
わたしは首を傾げた。……なんで名前知ってるんだろ。
踏み出した足を戻して男の子に向き直れば、男の子は小走りでこちらに寄ってきた。
「やっぱり、お前紫乃だろ」
「えっと……わたしのこと知ってるんですか?」
目の前に立つ黒髪の子とわたしは知り合った記憶はない。
さっぱりわからないわたしに少し、拗ねた顔をする。
「東雲愁だ。ガキの頃、近所だった愁」
しののめ……しゅう──
近所というワードにわたしの中に記憶がよみがえってきた。
「もしかして、しゅーちゃん!?」
「しゅっ……まぁ、そうお前が呼んでた愁だよ俺は」
──うっそ……
頭を掻きながら不服そうにする、しゅーちゃん。