三人が離れてくれませんっ
注文の品を受け取って、しゅーちゃんを先頭にいっちゃんを探せば、一番奥隅の席で手を上げてくれた。
「僕、紫乃の隣ー。はいこれ樹のー」
「あ、おいっ」
たーちゃんに服を引かれ、しゅーちゃんを抜かして席へつく。
いっちゃんの隣は勿論しゅーちゃん……だけどちょっと拗ねてるみたい。
「ありがとう、匠」
「匠、お前ガキの時もそんな感じだったよな……」
早速食べ始めてるたーちゃんは、口を動かしながら首を傾げれば、懐かしい話をし出す。
「紫乃の家でよく、昼飯とか菓子とか食べたろ。そん時も、"僕、しーちゃんのとーなり!"って」
「……あーあったね。しかもそれ、俺か愁のどちらかがすでに紫乃の隣座ってた時によくあった気がする」
「そうだっけ?」
飲み物を手にいっちゃんは共感し、たーちゃんは相変わらずおとぼけ。多分覚えてるんだろうけど。
わたしも、忘れてない。
よくたーちゃんが間に入ってきたこと。
……それにしても──
「たーちゃんだけはわたしのこと、しーちゃんって呼んでたよね。懐かしいなぁ」