三人が離れてくれませんっ
「あ、あのいっちゃん……?」
いっちゃんの横顔はすごく穏やかに見えるけど、実際のところはわからない。
顔に出ないと言うか、晒さないと言った方が正しいのか。
「二人ともくっつき過ぎ。俺だけ紫乃に触れないんだけど?」
──ん?
怒っては……ない?みたいだけど、ただ注意するような言葉ではなくて、驚いた。
二人が顔をしかめ、わたしたちの方を見るから持ち上げられてるのが恥ずかしくて、
「い、いっちゃんおろし──」
「駄目」
おろして、と頼む前にいっちゃんは踵を返し、ダイニングチェアの方に歩き始めた。
「あ」
「は!?樹ちょっと待て!!いやっ待たなくていっ……やっぱなんでもねぇ……」
「何?愁」
いっちゃんがわたしごと振り返れば、しゅーちゃんは片手で顔を覆っていた。