三人が離れてくれませんっ
少なくとも、いっちゃんならわたしがしゅーちゃんにのぞんだ、注意の言葉を言ってくれるだろうし、
もしかしたら、移動させられたあそこの二人のヤンキーくんへの救済……のような案とか出してくれちゃったりするんじゃないかな。
そう期待をしていれば、ようやくいっちゃんが顔を上げ立ち上がった。
「わかった。俺もそうすることに決めたよ。総長サマもしていることだしね」
──あっれー……
期待もへったくれもなかった。
「ちょ、ちょっと待──」
「おー樹もコイコイー」
「いんじゃね」
そしてまさかの二人ともノリノリ……
止めに入る隙もないままに、いっちゃんは微笑みながら一旦教室を出ていった。
「ほんとに良いの?しゅーちゃ……そうちょーさま」
「は?お前は名前で呼べ。いんだよ別に、センコーも何も言ってこねーし」
言ってこない、じゃなくて言えない、の間違いだと思うけど。
まあ言ったところで……ってとこあるからね。
「良かったね紫乃。樹髪赤いけど、頭いいからさー」
髪赤いって……見た目に反して、的な?
いっちゃんがおバカってイメージないけどさ。
──にしても、本当にいっちゃん来るのかな……