三人が離れてくれませんっ
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「そう言えば僕、紫乃の連絡先知らない。教えてー」
「匠、前」
「前向いとけ」
「たーちゃん、今バリバリ授業中だから。後でね」
「ふあーい」
思い立ってすぐ聞いてきたんだと思うけど……流石に今は無理だ。
しゅーちゃんといっちゃんからは同時に軽いお叱りを受け、たーちゃんは渋々前を向いた。
──四時限目終了の鐘が鳴ると、たーちゃんはわたしに手を伸ばす。
「携帯貸ーして」
「……どうぞー」
連絡はあまり取り合わないって言ってたけど、知っといた方が何かといいもんね。
「匠、俺にも送っとけよ」
「俺にもね」
「んーおけー。はい紫乃ーありがと」
……たーちゃん、操作はやっ
わたしに携帯を返すと、二人の携帯が鳴った。
「……いつでもなんかあれば寄越せよ」
「これでいつでも、紫乃と話せるね」
「うん」
連絡先を知っただけなのに、なんだろうこの安心感。
──やっぱりわたしの中で、三人は支えになってるからかな