三人が離れてくれませんっ
──放課後、帰り支度をする三人を置いて、わたしは箒を手にした。
「紫乃何してんの?帰ろー」
「今日掃除当番なの。先に帰っていいよ」
えー、とたーちゃんは肩を落とす。
だけど、当番は当番だから。
「真面目だな、お前は。だったら俺もやるわ」
「ありがと、でも大丈夫!たまには三人だけで寄り道してきなよ。いつもほら、送ってもらってるし」
「でもよ……」
眉根を寄せるしゅーちゃんの言いたいことはわかる。──"本当に一人で大丈夫か"って。
「もう一ヶ月だよ?それに皆帰ってるから、心配ないって。連絡も出来るしさ」
「……それは」
わたしを残して帰るのが、しゅーちゃんは気に食わないよう。でもそんなしゅーちゃんの肩にいっちゃんが手を置いた。
「愁、紫乃の言う通り今日は一人で頑張って貰おう。毎日俺らがくっついて歩いてたし、たまにはさ」
「……わかった」
渋々、と言った感じだけどお許しが出た。
「じゃーまた。掃除がんばー」
「匠のやつ、全然気にしてねぇのかよ」
「まぁまぁ。紫乃、これ差し入れ。置いとくね」
いっちゃんは机にお茶のボトルを置き、教室をあとにした。
しゅーちゃんも続いて出ようとした所で止まり、
「家着いたら連絡いれろ。いいな」
「うん」
振り向きはしなかったけど、なんだかんだ優しいな。