三人が離れてくれませんっ
「やぁ、紫乃──助けに来たよ」
五人の奥から姿を現した赤髪に、目を見開いた。
助けに?
扉が開く音はなかった。ここの五人と争うようなことも。
ゆっくりとこちらに来て、わたしの体を起こすいっちゃんは、また数歩離れ──
「なんて……簡単な嘘、信じないよね?頭がよほどお花畑じゃなかったらだけど」
知らない。
知らない。
知らない。
わたしはこんな、いっちゃん──知らない。
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