神様、どうか目をつぶってください!
1. 聖女召喚
それを目の当たりにしたとき、不謹慎にも『本当だあ』と軽く感動してしまった。
壁があるわけでもない。
林の中の何もない空間に、脈絡もなく浮かんでいる、紛うことなき穴──
膝くらいの高さにぽっかり空いている。
直径は確実に50センチもない。
うーん……下手をすると40センチもないかも……
屈んで覗き込んでみたが、穴の向こう側は真っ暗で何も見えない。
「あのう……本当に私がここに入らないといけないんですか?」
自分の声がくぐもって聴こえた。
それというのも、神に仕える聖女に全くもって相応しくない兜を被せられているから!
私の真横に立つ神官長が耳打ちしてきた。
「瘴気が漏れ出ているでもないのだから、早く行きなさいっ」
無駄とわかっていても、恐る恐る国王陛下を横目で見上げると、陛下は力強く頷いてきた。
「聖女ジョセフィーヌ、君にしかできないことだ。しっかり頼む!」
何が『聖女』よ。
つい1時間前までは、下っ端の聖女見習いだったのに。
不運にも魔王との交渉役に任命されたせいで、急遽聖女に昇格させられた、というだけの話なのだ。
壁があるわけでもない。
林の中の何もない空間に、脈絡もなく浮かんでいる、紛うことなき穴──
膝くらいの高さにぽっかり空いている。
直径は確実に50センチもない。
うーん……下手をすると40センチもないかも……
屈んで覗き込んでみたが、穴の向こう側は真っ暗で何も見えない。
「あのう……本当に私がここに入らないといけないんですか?」
自分の声がくぐもって聴こえた。
それというのも、神に仕える聖女に全くもって相応しくない兜を被せられているから!
私の真横に立つ神官長が耳打ちしてきた。
「瘴気が漏れ出ているでもないのだから、早く行きなさいっ」
無駄とわかっていても、恐る恐る国王陛下を横目で見上げると、陛下は力強く頷いてきた。
「聖女ジョセフィーヌ、君にしかできないことだ。しっかり頼む!」
何が『聖女』よ。
つい1時間前までは、下っ端の聖女見習いだったのに。
不運にも魔王との交渉役に任命されたせいで、急遽聖女に昇格させられた、というだけの話なのだ。
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