神様、どうか目をつぶってください!
「体調不良の原因は、病ではなさそうですね。不摂生やメンタルからきているのかもしれません……」
「あー」
気だるげな返事。
心あたりがありそう。
「そちらはすぐに治せるものでもないので、とりあえずギックリ腰からいきますね」
「それって、ジョゼがギックリ腰を治してくれるってこと?」
魔界からでも、神様に声が届くかしら……
一瞬悩んだが、すぐにかぶりを振った。
大丈夫に決まっているじゃない。
たとえどこにいようとも神様はきっと聞いていてくださるはず。
私は跪き、両手を組み、天を仰いだ。
「神様、結界に開いた穴を塞ぐためとはいえ、邪悪な者に神聖な治癒魔法を施すこと、どうぞお許し……」
「……酷い」
「何か言いました?」
「失礼すぎじゃない?」
「えっ?」
魔王様が白目をむいた。
「もういいや。何でもいいから、この邪悪なギックリ腰を神聖な治癒魔法で治してよ」
「お任せください。神様は魔王様であっても見捨てたりはしませんから」
「はい、はい」
魔王様はとても渋い顔をしていたけれど、治癒魔法が効いてくるとその表情を柔らかくした。