神様、どうか目をつぶってください!

「どうですか? 起き上がれそうですか?」

 魔王様はカウチに座り、どさっと背もたれに倒れかかった。

「体はダルいけど、腰は全然痛くないよ」
「そうでしょう、そうでしょう」

 私は、『うん、うん』と大きく頷いた。

 これで魔王様にも神様の偉大さが伝わったはず……
 あら? ということは、もしかして魔界で布教活動ができてしまったのでは?
 そうだとしたら、神官長の召喚失敗で聖女になってしまった私だけど、正真正銘の聖女になれるかも。
 だったら、この調子でがんばらないと!

「ジョゼ、素晴らしいよ。ねえ、よかったら僕の……」
「さあ、次はその体調不良をどうにかしましょうか!」
「……あー、そうだねー。頼むよー」
「ご自分のことなのに、投げやりな言い方ですね。そんなことでは駄目ですよ」

 そうは言ってみたけれど、それもこれも体調不良が原因に違いなかった。
 神様の力をお借りして、活力が湧いてくるようにしてあげなくては。
 そうして、その暁にはちゃちゃっと穴を塞いでもらいましょう。

「さーて……」

 私は腰に手を当てて、魔王様と自分のいる部屋を見回した。

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