神様、どうか目をつぶってください!
※
魔王様がよく使用する部屋から順番に掃除していくことにした。
まずは魔王様がいた、この部屋から。
「それでは始めます。ゴブリンのみなさん、準備はいいですか?」
魔王城にある掃除道具は1世紀を経て、使い物にならなくなっていた。
ゴブリンたちが今手に持っているのは、雑巾サイズに切っただけの古布や、棒に古布を巻き付けただけの即席お掃除グッズだ。
「オッケー」
「高いところからやればいいんでしょ?」
気合は十分だし、私の説明もきちんと聞いて理解してくれている。
なんだ、いい子たちじゃないの。
ちなみに魔王様は、ゴブリンに頼んでカウチごと庭園に運び出してもらった。
新鮮な空気の中で、お昼寝してもらうことにしたのだ。
「ゆっくり、平行に持ち上げて……1、2、1,2……」
「やあ、ジョゼは立派なゴブリン・テイマーだな」
魔王様はおかしそうに笑ったが、あのとき私は傷ついた。
聖女らしくなりたかったのが、まさかの魔物使いだなんて……
い、いいえ! ゴブリンと一緒に魔王城を掃除できたのなら、立派な聖女になれるはずだわ。