神様、どうか目をつぶってください!
しかし、気を取り直して見上げた天井は、とても高かった。
「どうしましょうか……」
「平気、平気」
ゴブリンたちは『きゃっきゃ』と楽しそうに梯子を持ってきて、即席のはたきで掃除していく。
「貴方たち、掃除できるじゃないの。どうして今までしてこなかったの?」
「だって、掃除しないと魔王様が病気になるって知らなかったんだもん。洗濯はしてたし、お風呂にも入ってたし」
「それにしたって……」
「僕たちだけじゃつまんないんだもん」
「でも、ジョゼとなら楽しいよ! これからはやる」
そこまで言ってもらえると、私も気分がいい。
「最後の仕上げは任せてちょうだい」
床の雑巾がけまで終わって、部屋中の蜘蛛の巣や塵、埃を除去したところで、私はいよいよ浄化魔法を唱えた。
どこもかしこも聖なる光でピカピカに輝く。
「ジョゼ、かっこいい!」
「これで魔王様は元気になる?」
「なるわ。あとはバランスのいい食事……って、魔王様の食事はいつもどうしているの?」
訊きながら、嫌な予感がした。
「厨房があるよ。そこでお肉を焼いたり、野菜を煮たり……」
「ねえ、そこに連れていってくれる?」