神様、どうか目をつぶってください!



 予感は的中しないでほしかったのに、見事なまでに的中した。
 床も壁も油汚れでベタベタしている。
 あちこちに散乱する生ゴミも目に入った。
 全身鳥肌が立つ。

「次は厨房を徹底的にお掃除しまーすっ!」

 金切り声になってしまった。
 けれど、踵を返して逃げなかっただけでも褒めてほしい。

「神様、聖水をこのようなことに使ってしまう私をどうかお許しください」
「ジョゼって、そればっかだね」
「毎回それ言わないといけないの?」

 『ぷぷっ』と笑うゴブリンたちを睨めつけ、それから高圧で聖水をぶちまけてやった。
 ゴブリンたちは悲鳴を上げながら、厨房から一時避難していく。
 でも相変わらず楽しそうだ。

 厨房全体を高圧洗浄した。
 出しっぱなしの鍋やフライパンもまとめて。
 聖水は汚れを含みながら、壁から床へと流れ落ちる。
 そうして、聖水が洗い流したあとは、全てがキラキラと光り輝く。
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