神様、どうか目をつぶってください!
4. 晩酌
「みんな、いい? 静かに行くわよ」

 私の小声での呼びかけに、ゴブリンたちは頷いた。
 けれど私たちが近づくと、魔王様はうっすらと目を開けてしまった。

「ごめんなさい。起こしてしまいましたね」
「いや。ずっと起きてて、目を閉じてただけなんだ。ジョゼはどうしてここに?」
「私は薬草を探しに……」
「ジョゼ、こっち! こっち!」
「すぐ行くわー。少し騒がしくしてしまいますが、魔王様は気にせず休んでいてくださいね。あっ、それともお部屋に戻りますか? またゴブリンたちに運んでもらいます?」
「いや、いいよ。ここは風が心地いいし、見学させてほしいな」
「わかりました。では、失礼しますね」

 ぺこりとお辞儀をして、ゴブリンたちの手招きするほうへ向かった。

「ジョゼが言ってた薬草ある?」

 自生している薬草は、茂みを作っていた。
 たくさんの種類の薬草が絡み合っている。
 私がそれを丁寧にほどいてひとつひとつ調べている間、ゴブリンたちは期待に満ちた眼差しで黙って待っていた。
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