神様、どうか目をつぶってください!
「これと、これ。それとこれも。いっぱい集めてくれる?」
「それ全部血行をよくするの?」
「血行にいいのはこれ。こっちは消化を助けてくれて、そっちのは安眠効果があるの」
「聖女って薬草にも詳しいんだね」
「まあね」
鼻を高くしたが、聖女見習いでもこの程度の薬草の知識はもっていて当然だ。
神殿は病院も経営していて、聖女見習いも日常的にそこで奉仕している。
聖魔法による治療だけでなく、入院患者の食事を用意するのも私たちの仕事なのだ。
ゴブリンたちは、我先にと茂みに突撃していく。
「いいなー、楽しそうで」
耳元で声がしたので、びっくりして振り向いた。
「ゆっくりしていてください」
「ジョゼが来てくれてから、少し休んだだけでもずいぶん体調がよくなったんだ」
「気のせいですよ」
「いや、本当に。魔王城に光が射したみたい。僕だけじゃなくて、ゴブリンたちもあんなに楽しそうだし……」
そこまで言うと、魔王様は急に話すのを止めた。
そして私の顔を覗き込んできた。