神様、どうか目をつぶってください!
※
「魔王様、今日はいっぱい食べるね」
「君らほどじゃないけど、ジョゼのごはんは美味しいからね」
「お口に合うならうれしいです。でも、魔王様の手際だってよかったですよ」
『少し体を動かしたくなった』というので、魔王様まで夕食作りに参加したのだ。
また体調を悪くしてしまわないか心配だったけれど、今のところは平気そう。
何より、きちんと量を食べられている。
これなら回復も早いはず。
とてもいいことだ、うん。
「片付けまで済んだら、私は人間界に戻りますね。明日は朝から来てもいいですか?」
「えっ!?」
魔王様もゴブリンも、みんなして同じ顔で私を凝視してきた。
ううん、その中で魔王様はひときわ大きく目を見開いているかも。
「魔王城に泊まりなよ」
「僕ら、もうひと部屋くらい掃除するから」
「そうだよ、夜遅いし危ないよ」
実際ゴブリンの言う通りだった。
林の中に出たところで、そこから神殿が所有する共同住宅まで、徒歩で帰らないといけない。
夜更けに着いて、ルームメイトを起こしてしまうであろうことにも気が引けた。
そして、それ以上にあの穴に何度もおしりをつっかえさせたくなかった。
「なら、そうさせてもらおうかしら」
みんなが、ぱあぁと顔を輝かせた。