神様、どうか目をつぶってください!



「魔王様、今日はいっぱい食べるね」
「君らほどじゃないけど、ジョゼのごはんは美味しいからね」
「お口に合うならうれしいです。でも、魔王様の手際だってよかったですよ」

 『少し体を動かしたくなった』というので、魔王様まで夕食作りに参加したのだ。
 また体調を悪くしてしまわないか心配だったけれど、今のところは平気そう。

 何より、きちんと量を食べられている。
 これなら回復も早いはず。
 とてもいいことだ、うん。

「片付けまで済んだら、私は人間界に戻りますね。明日は朝から来てもいいですか?」
「えっ!?」

 魔王様もゴブリンも、みんなして同じ顔で私を凝視してきた。
 ううん、その中で魔王様はひときわ大きく目を見開いているかも。

「魔王城に泊まりなよ」
「僕ら、もうひと部屋くらい掃除するから」
「そうだよ、夜遅いし危ないよ」

 実際ゴブリンの言う通りだった。
 林の中に出たところで、そこから神殿が所有する共同住宅まで、徒歩で帰らないといけない。
 夜更けに着いて、ルームメイトを起こしてしまうであろうことにも気が引けた。
 そして、それ以上にあの穴に何度もおしりをつっかえさせたくなかった。

「なら、そうさせてもらおうかしら」

 みんなが、ぱあぁと顔を輝かせた。
< 24 / 31 >

この作品をシェア

pagetop