神様、どうか目をつぶってください!
「ジョゼがいなくなったら、僕はまた病気になると思うよ」
「べ、別に私でなくても……明日までにお酒のレシピを書いて渡しますので、また晩酌仲間を見つけてください」
「それでもジョゼがいないと駄目だよ」
「淋しかったところに、偶々現れたのが私だっただけです」
「サキュバスに誘惑されたって、動じたことはなかったのに? ジョゼだけだよ、僕の心を動かすのは」
もはや私の胸の内は大荒れだ。
「ジョゼが現れた瞬間、運命の出会いだと思ったよ」
「大袈裟です!」
「あのときの僕がどんな気持ちだったか想像できない?」
私との出会いが運命?
そんなことあるはずが……
「ジョゼにとっては運命の出会いではなかった?」
「まさか!」
「なら、どんな出会いなら運命?」
「どんなって……」
そんなのわかりきっている。
神様に会えるとしたら、それこそまさに運命の出会いだ。
ひと目見ただけで、この方がそうだ! って気がつく。
そして、出会えた感動に打ち震えて──
って、あら? あらら?
神様との出会いのシーンを想像したはずなのに、私の想像の中には、カウチに横たわる魔王様がいた。
あの瞬間、確かに私の世界は一変した。
まさか、まさか……
あれが、私にとっても運命の出会いだったの!?