神様、どうか目をつぶってください!
2. 謁見
 あっ、おしりが引っかかって……
 両手を地面につき、どうにかおしりを引っぱる。

「ぐぬぬぬぬ……」

 このままでは、私のおしりが穴を塞ぐことになってしまう。
 ゴブリンがやってこなくて街が平和になるのはいいことだけれど、人々は街道を通る度に私のおしりを指差して笑っていくだろう。
 ひょっとしたら、私のおしりが観光地になってしまうかもしれない。
 それは何があっても回避しなくては!

 聖女見習いとして、どんなに過酷な修行にも耐えてきたじゃないの。
 がんばるのよ、私!

「ふんぬっ! ……はあ、はあ、抜けたー」

 パチパチと小さな拍手が起こった。
 また陛下と近衛兵たちに違いない。

 けれど、それに応えるような余力はなく、私はしばらく地面に突っ伏していた。
 明日は二の腕が筋肉痛なんだろうな、とぼんやり考えた。
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