神様、どうか目をつぶってください!
※
「痛っ……!」
気だるそうにカウチに寝そべる男性の前に投げ出された私は、思わず目を見開いた。
石の床に投げ出された痛さなど、あっさりと吹き飛んでしまった。
ああ、神様!
このような不浄な場所でお会いできるとは!
ひと目見ただけで、心を搔っさらわれてしまった。
世界が一変する。
出会う前の私にはもう戻れないだろう。
でも、それでいい。
人外の美しさ!
これぞ、私が思い描いていた通りのおすが……
あらら? その角は? えっ、尻尾まで!?
まじまじと見ると、その顔色は悪く、とても不健康そう。
思い描いていたお姿とは、少しばかりでなく違って見えた。
「君……は……? 誰?」
「あっ、私は聖女ジョセフィーヌと申します!」
神様も目を瞠っている。
人間が唐突にお邪魔したことに驚いているのだろう。
「聖女? それで、ジョゼは何しに魔王城に? 魔王と聖女って、まさかそういう展開……」
「ま、魔王城なのですか、ここは?」
つまり、目の前にいるのは神様ではなく魔王様!?
一番星よりも眩しかったはずの感動は、真っ暗な恐怖にすり替わった。
歯がカチカチ鳴り始める。