独占欲強めな不良さんに執着されています。
「おぉ、芽郡さんでよろしいかな?」
「はい、芽郡魅摘です。よろしくお願いします」
「こちらこそ。学園長をやっている、竜堂(りゅうどう)だよ。よろしく」
学園長は、手紙から分かるようにやさしそうな人だった。
「魅摘さんは1‐Sに入ってもらうよ。教室にも案内するけど、その前にお願いがあるんだ」
「なんでしょう」
「あくまでお願いだし、聞かなくてもいいからね。キミにも拒否権はある。・・・じつは、風紀委員になってほしいんだ」
「風紀委員、ですか?」
「あぁ、風紀委員には、手に負えない問題児がいてね。キミがサポートできるんじゃないかって教師陣も言ってるんだよ」
なるほど・・・問題児か。
まぁ不良校だし、問題児くらいいっぱいいるだろう。
全員問題児ですって言っても信じられるしね。
「・・・わかりました。風紀委員に入らせていただきます」
「本当かい?ありがとう」
学園長は眉尻と下げ、優しい笑みを浮かべる。
「まず教室に行ってカバンを置こう。そうしたら、担任の指示で体育館に入り、入学式を行う」
「わかりました。1年なので1階ですか?」
「そうだよ。ちなみに、風紀委員室は別棟の3階の一番奥」
「覚えておきます。今日も行った方がいいですか?」
「うーん・・・まぁ、今日はやるコトが多いから明日からでいいよ。でも、明日からは毎日行ってほしい」
「はい」
私よりも強いだろうか、その問題児さんは。
先輩だろうし、体格では絶対に負けるから・・・やっぱりパワーかテクニックだよね。
明日が楽しみだ・・・と心の中で思いながら、私は学園長について行く。
「ここが1‐S。1年の中で1番優秀な生徒が10人集まる教室だよ」
キミの席はココ、と一番後ろの机を指差される。
よかった・・・前だとみんなの視線が自然と集まっちゃうし、後ろの方が好きなのだ。
日当たりもいいし、お昼寝しちゃいそう・・・。
「お、ココみたいだな!」
1人の男の子が入ってくる。
「ん?女子生徒?」
子犬のような真ん丸な瞳をした男の子だ。
「初めまして!男子校も同然って聞いたけど・・・俺は(れい)!えっと・・・」
「私は魅摘。よろしくね、・・・澪」
元気で性格のよさそうな男の子だし、クラスメイトとは仲良くしておいて方がいいだろう。
「カバンを置いたら各自体育館へ・・・一緒に行くか?魅摘!」
「うん、行こう、澪」
席にはカバンがたくさんかけてあったので、みんなもう体育館に行ったんだろう。
「俺たちが最後みたいだし・・・あっ、学園長先生?」
「あぁ、こんにちは。体育館へ行った方がいいと思うよ?」
学園長に勧められ、私と澪は急ぎ足で体育館へ向かった。
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