君と始める最後の恋
「何を仰っているかわかりませんけど、好きとかそういう邪推やめてください。小川くんは私をなんとも思ってません。」

「何でそんな事君に分かるわけ、鈍い君に分かるの?」

「あり得ませんから!それに小川くんが万が一私を好きだとして先輩に関係ありますか?」


そう突き放す発言をすると先輩は私を冷たく見下ろすだけ。

私もその瞳に負けじと睨み返す。

私は先輩の彼女でも何でもない、大事な気持ちは伝えてくれないのに、どうして小川くんとの関係性の事をそこまで先輩に詰められなくちゃいけないのか。

そんなの私だけでは無く、小川くんにだって失礼。


「…君さ、本当に俺を好きでいてくれてるの?もう、やめた?」

「は…、何でそうなるんですか。」

「まあ俺が勝手に待たせてるからやめられても仕方ないけど。確かに俺には何も関係なかった、」


そう言って私に背を向ける。

本当に何が言いたいの、言葉が足りなさすぎるよ。

何で今日そんなに突き放されなきゃいけないの。

普通の事を言っているだけなのに、先輩の一瞬の悲しそうで切なそうな表情と声色に戸惑う。


「…帰んなよ、具合戻ったなら。悪いけど今日は送っていけないから、タクシーで帰って」


こんな時まで優しくしてくるのもムカつく。

突き放すなら優しくしないでよ。

そんな先輩に言いたい事も言えず、先輩の家を出ていった。
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