君と始める最後の恋
「……、…郁って。」


名前を呼ばれてハッとした。

ボーっとしていつ先輩と合流していたのかもわからない。

確か今から沙羅さんたちの家に向かおうとしてる時だった。

小川くんの言葉にはかろうじて「ごめんね」と言えたものの、そこからは「諦めませんから」なんて宣言されてしまった気がする。

その事でずっと頭がいっぱいだった。

今後、どう接していくのが良いのか。どうやって諦めてもらえば良いのか。

考えてもすぐに答えが出るものではないのに、そればかりで。


「ごめんなさい、ボーッとしてました」


そう言って笑うも先輩の少し険しい表情は解けない。

小川くんの気持ちに気づいていたのにそのままにしてきたツケが回ってきたというべきか。

志織ちゃんも言ってくれてたのに。

どうするつもりですかって。


「嘘下手ってよく言われるでしょ。」

「ええ?何の話ですか?」


先輩からの言葉を避けるようにいつも通り笑って惚けてみる。
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