君と始める最後の恋
「バカ、本当バカ。頑固」

「なっ、何でそんな貶してきて!?」


先輩は少し溜息を吐いて、今度は私の肩を掴む。


「何でも1人で片付けようとしないで。困ったら2人で悩めばいいじゃん。君だけの問題じゃないんだから。」

「でも…。」

「でもじゃなくて、俺がそうしたいだけ。1人にしないから、ちゃんと相談してよ。」


先輩の優しさが今はすごく沁みる。

こういう優しい人だって分かってたけど、何となく言えなかった。

やましい気持ちは一切なくても、それでも恋人が告白されたとか普通聞きたくないでしょ。

だけど先輩は1人でどうにかしようとしてた私を1人にしないって言ってくれた。

そんな気持ちが嬉しくて思わず泣いてしまいそうになる。


「うう…、先輩大好きすぎる…。」

「はいはいって、泣くな!これから沙羅たちに会うのに変な誤解される!」


そう言いながら雑に溢れる涙を拭われた。

この人を好きになってよかったって思わせてくれる。

片思いの時からずっと。
< 187 / 286 >

この作品をシェア

pagetop